地球表面付近の時空は、相対性理論の予言どおり地球の自転に引きずられている
【2004年11月4日 NASA Popular Topics】
1918年にアインシュタインが一般相対性理論の中で予言した効果について、NASAなどの専門家からなるチームが観測に成功した。この効果は、地球の自転によって地球の周りの時空が引きずられるというもので、LAGEOS(Laser Geodynamics Satellites)IとIIという衛星の軌道面が毎年2mずつ地球の自転の方向に変化していることが発見されたのだ。
相対性理論によれば、質量の大きな天体が回転する際にその周囲の時空が引きずられると予測されてきた。例えるなら、ボウリングのボールが蜜のような粘度の高い液体の中で回転すると、周囲の蜜もその回転に引きずられるのと同じようなものである。蜜にくっついているすべてのものがボールの周りを一緒に動くことになるのと同様に、地球が回転すると地球表面に近い時空も引きずられる。そして、地球の周りを回る人工衛星の軌道にも変化が起こるのである。
研究チームは、LAGEOS IとIIの軌道面が毎年2mずつ地球の自転の方向に変化していることを発見した。この観測結果は一般相対性理論の予測に誤差の範囲内で99パーセント合致するとのことだ。今年打ち上げられたGravity Probe B衛星による今後の観測で、誤差がさらに小さくなり、どんなことが起きているのかさらにわかってくるだろうと期待されている。