カッシーニが見た土星表面:オーロラ、渦巻く雲、環の影
【2005年8月15日 JPL Multimedia Images (1) / (2) / (3)】
土星探査機カッシーニが捉えた最新画像の中から3点を紹介する。どれも土星の表面を見た画像で、それぞれオーロラ、雲の様子、環の影を捉えている。土星の大気が活発に活動している様子や、土星そのもののスケールの大きさが改めて実感できる。
青く浮かび上がる土星のオーロラ
この画像は、6月21日にカッシーニに搭載された紫外線分光撮像器によって捉えられたものだ。青い色(疑似カラー)がオーロラで、赤っぽいオレンジ色(疑似カラー)は、反射する太陽光を示している。楕円形のオーロラの全体像をカッシーニが捉えたのは、これが初めてのこと。
右側の画像は、左側の1時間後に撮影されたものだ。オーロラが少なくとも1時間は継続するが、その間に少し変形することがわかる。
大気のマジック−曲げます、雲も環も
6月25日に、カッシーニは土星から約100万キロメートルの距離に近づいた。そのときに撮影したのが、この画像だ。画面左上にある土星の表面には、うねうねと曲がった雲が見える。惑星の裏側に見える環も、土星のすぐ近くでは大きく曲がっている。もちろん、実際に曲がっているのではなく、地球上で水の中にある物を覗くのと同じように、土星の大気を通して環を見ているため屈折しているのだ。なお、環の特に暗い部分は、4,800キロメートルの幅をもつカッシーニの間隙。画像スケールは、1ピクセルあたり、6キロメートル。
大きな土星に浮かび上がる環の影と、衛星テチスの姿
この雄大な土星の姿は、6月10日に撮影された。環が、土星の北半球に巨大な影を落としている。また、土星の前を、直径1071キロメートルの衛星、テチスが通過している。画像スケールは、1ピクセルあたり80キロメートル。
カッシーニ/ホイヘンス :NASAとヨーロッパ宇宙機関が共同で開発した土星探査機/衛星着陸機。1997年10月15日に打ち上げられた。2004年7月に土星系に到着し、数多くの衛星に接近、観測を続けている。母船は4年間にわたって土星本体や環、各衛星などの精密観測をする予定である。カッシーニ計画はNASAの重厚長大プロジェクトの最後のもので、総費用は4000億円となっている。(最新デジタル宇宙大百科より)