第2回プラネタリウム解説コンクール、高田高校が2連覇達成
【2006年2月15日 アストロアーツ】
2月11日(土)、三重県立みえこどもの城(三重県松阪市)が主催する、プラネタリウムの生解説を競うユニークなコンクール「プラネタリウム解説コンクール(通称プラコン)」が行われた。プラコンは、個性と才能にあふれた人材を発掘してプラネタリウム解説に新風を吹き込もうと、みえこどもの城館長・河原孝さんの発案により昨年から行われているもので、今年は第2回。文部科学省、月刊「星ナビ」などが後援している。
今回みごと最優秀賞に輝いたのは、高田高等学校(三重県津市)の天文部1年生の岡田康平さんと笠井悠未さんの2人組。「星取物語」と題する、かぐや姫をモチーフとしたオリジナルの台本を創り上げ、星や星座の和名と現代の呼び名を、テンポの良い掛け合いで次々と紹介し観る者を惹きつけた。ふたりの所属する高田高校天文部は、昨年第1回の最優秀賞を受賞した中村祐基さんと田中美奈さん(当時2年生と1年生)の2人組に続いて、2年連続のプラコン最優秀賞を達成した。昨年の最優秀賞の解説は、その後ステラナビゲータVer.7用に番組化されたことから応募者に徹底的に研究されることとなり、今回のコンクールは昨年を上回るハイレベルな戦いとなったが、高田高校天文部はそれらの挑戦を上回る、観客の心をとらえる解説を繰り広げて2年目も制した。また、共に活動をしている高田中学校科学部地学班2年生の2人組も出場し、奨励賞を受賞した。
プラコンの応募者は、中高生の天文部員だけでなく、大学生、星仲間の社会人などさまざまであるが、いずれもアマチュアで、プラネタリウム解説をしたことのあるいわゆるプロ経験者は応募資格がない。今回の解説のルールは、2月11日当日の23時の星空を8〜10分間で解説する、というもの。応募総数は13組21名、遠くは東京や大阪からも応募があり、その中からテープ審査の予選を勝ち抜いて本戦に出場したのは8組13名。本戦ではギャグあり、ドラマあり、星空への独自の視点あり、とそれぞれ台本に個性が発揮されたが、競われたのは台本の優劣だけではない。わかりやすい話し方、星座絵の出し方、BGMの選曲、ポインタ(矢印)の使い方、など、わずか8〜10分間の解説にもさまざまな技能が求められる。
審査員を務めたのは、宇宙物理学者の佐治晴夫さん(鈴鹿国際大学短期大学部学長)、子どもの本屋店主の増田喜昭さん(子どもの本専門店メリーゴーランド代表)、プラネタリウム解説者の上玉利 剛さん(かわべ天文公園)、星ナビ執筆陣としてもおなじみの浅田英夫さん(あさだ考房)、MAPみえこどもの城館長の河原 孝さん、の5名。この他に会場の一般審査員の採点が加味されて各賞が決定した。審査委員長の佐治晴夫さんは「ドラマ仕立ての展開はすばらしかった」と講評し、「天体と私たちのつながりに想像をめぐらせて星に親しんでほしい」とメッセージを送った。プラコンは一般の観客もいる中で自由な発想で星の話をできる場であり、プラネタリウムで解説をしてみたい、という人にとっては夢をかなえる舞台である。みえこどもの城では、プラコンを今後も発展的に継続していく意向だという。
ちなみに昨年の最優秀賞の解説をアレンジした番組が、家庭用プラネタリウムのヒット商品となったセガトイズの「ホームスター」のCDに音声が収録されたことでも話題となった。今回の最優秀賞の解説は、ステラナビゲータ Ver.7用のプラネタリウム番組として現在公開中だ。
第2回プラコン受賞者は以下の皆さん。他に入賞者(出場者)には賞品として、アストロアーツ提供の藤井龍二著『まんがで読む星のギリシア神話』が贈呈された。
受賞内容、作品タイトル | 受賞者氏名、職業 |
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■最優秀賞 「星取物語」 (賞金5万円と副賞として ステラナビゲータ解説音声のネット配信) |
・岡田康平さん(高田高等学校天文部) ・笠井悠未さん(高田高等学校天文部) |
■優秀賞 「星ふる夜の物語」 (賞金2万円) |
・小柳清子さん(名古屋市在住・公務員) ・土井陽介さん(横浜市在住・会社員) |
■特別賞 「春へ」 (賞品:コニカミノルタの デジタルカメラ・DiMAGE X60) |
・高山佳子さん(津高等学校天文部) |
■奨励賞 「銀河鉄道の夜パートII」 (賞品:いしいしんじ著 『プラネタリウムのふたご』) |
・山本健仁さん(高田中学校科学部地学班) ・西尾 学さん(高田中学校科学部地学班) |