ハッブル宇宙望遠鏡の最新鋭カメラに異常、現在復旧中
【2006年6月29日 NASA News Release】7月3日 更新
NASAのハッブル宇宙望遠鏡HSTに搭載されているカメラの1つ、ACSに不具合が発生し現在運用を停止している。ACSは2002年に取り付けられた、従来よりも解像度・視野面積・感度の優れたカメラだが、NASAによれば7月3日以降の復旧を目指しているとのことである。
ACS(掃天観測用高性能カメラ)は2002年にHSTに取り付けられた、最新鋭の撮影装置だ。実際には用途の異なる3つのカメラからなり、紫外線から近赤外線までの幅広い波長の天体を撮影できる。また、他の装置よりも高い解像度や広い視野の画像を得ることも可能で、軌道上に打ち上げられてから16年以上も経つHSTを今なお最先端の望遠鏡たらしめているのはACSであると言っても過言ではない。
そのACSに異常が発生したのは今月19日のこと。電源装置の電圧が上昇しすぎたことで、動作しなくなってしまったのだ。現在ACSは完全に運用を停止させられており、技術者が原因解明に当たっている。一方、HSTによる観測は、他のカメラを使用して続けられている。
NASAの担当者によれば、問題の全容はほぼ把握できていて、解決に向かって取り組んでいるとのことだ。予定ではACSの復旧は7月3日以降で、完全に原状回復できる見込みだという。また、詳しい内容に関しては30日の記者会見で明らかにしたいとしている。