隣り合う、星の生と死 − ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した星形成領域と超新星残骸
【2006年8月8日 Hubble Newsdesk】
NASAのハッブル宇宙望遠鏡HSTが撮影した超新星残骸の画像が公開された。すぐ近くには星形成領域があり、星の死と誕生という対照的な姿が印象的だ。
このカラー画像は、2003年にACS(掃天観測用高性能カメラ)が4波長で撮影した画像とWFPC2(広視野/惑星カメラ2)が1波長で撮影した画像を組み合わせたものである。中央に写っている青い天体が小マゼラン雲の中にある超新星残骸(解説参照)、1E0102.2-7219(略してE0102)だ。小マゼラン雲は天の川銀河の伴銀河で、きょしちょう座の方向21万光年の距離にある。
E0102の位置で星の死、すなわち超新星爆発が起きたのは、およそ2000年前と推測されている。まだガスは広がり始めたばかりだ。
一方、画像の右上に広がる赤紫色の星雲は大規模な星形成領域、N 76だ。E0102からN 76の端までの距離は50光年。わずかな距離をへだてて、星の生と死が存在している。ひょっとすると、N 76の中ではかつてE0102に存在したような巨大な星が誕生しているかもしれない。もしそうだとすれば、数百万年後にはこちら側で超新星爆発が起きるだろう。
超新星残骸
超新星の爆発で吹き飛んだガスがつくる残骸。球殻状に広がりながら周囲の星間ガスと衝突し、その衝撃波でガスが加熱されるなどしてX線や電波を発している。かに星雲をはじめとして、はくちょう座の網状星雲、ケプラーの超新星残骸、ティコの超新星残骸などが有名である。(「最新デジタル宇宙大百科」より)