2006年9月の星だより
【2006年9月1日 アストロアーツ】
8月のはじめ、惑星は9個でした。しかし9月を迎えた今、惑星は8個です。盛り上がりを見せた「惑星の定義」で天文に興味を持った方にも、根っからの天文ファンという方にも、今月注目の現象や天文学の話題を紹介します。
めざせ、「惑星制覇」!
夏は、太陽系の惑星が話題を集めました。この機会に、実際に惑星を観察してみませんか。
地球を除いた7つの惑星のうち、水星・金星・火星・木星・土星の5つは大昔から知られていて、見ごろを迎えたときは星空の中でよく目立つ存在です。この中で木星は、宵の西の空でひときわ目立って見えます。日が沈んでから黄色い「一番星」を見つけたら、まず木星だと思って間違いないでしょう。他の4つの惑星は、今月は残念ながらほとんど見られません。
一方、天王星と海王星はそれぞれ18世紀と19世紀になってから発見された惑星です。つまり、それだけ暗くて目立ちにくいのです。しかし、どちらも双眼鏡を使えばじゅうぶんに見えます。また、小型の望遠鏡があれば他の恒星と違って色や大きさがあることがわかるでしょう。しかも、両方ともちょうど今が見ごろなのです!
天王星は9月6日にみずがめ座で衝(地球から見て太陽の反対側の状態)を迎え、明るさは5.7等。海王星は一足早い8月11日にやぎ座で衝となっていて、明るさは7.8等です。このチャンスに観察しておけば、すべての惑星を自分の目で見るのも夢ではありません。
余談ですが、「惑星」ではなくなってしまった冥王星も、夕方の空に現れています。しかし、明るさは14等級。大型の望遠鏡をお持ちの方以外は、見ることができません。
- 特集 - 太陽系再編
- 天文現象ガイド - 8月11日 海王星が衝
- 天文現象ガイド - 9月6日 天王星が衝
- アストロアーツオンラインショップ - 双眼鏡・フィールドスコープ
「欠ける満月」を見よう
9月8日未明、満月が地球の影をかすめる「部分月食」が全国で見られます。欠け具合はあまり大きくありませんが、1年ぶりの月食で条件もいいので、8日は早起きしましょう。
月食が続くのは午前3時から4時半ごろにかけてです。肉眼でも、双眼鏡でも、さらには写真撮影でも楽しめます。詳しくは特集ページをご覧ください。
- 特集 - 2006年9月8日 部分月食
- 天文現象ガイド - 9月8日 部分月食
- ポッドキャスト“StarWatchingExpress” - 9月1日公開Vol.42は「部分月食」特集
宇宙開発にも注目! スペースシャトル、そして日本の人工衛星
宇宙を身近にしてくれるのが、宇宙開発。ロケットの打ち上げはとても感動的ですが、今月は2つの打ち上げに注目が集まりそうです。
1つは、8月に打ち上げを予定していたNASAスペースシャトル「アトランティス」。あいにくの雷とハリケーンで打ち上げが延期されてしまいました。現在、NASAは9月6〜8日の打ち上げを予定しているそうです。「コロンビア」の事故で滞っていた国際宇宙ステーションの建設ですが、アトランティスによっておよそ4年ぶりに新しいパーツ(太陽電池パネル)が加わります。
23日(予定)には日本のロケット「M-V 7号」が打ち上げられます。このロケットには、太陽観測衛星「SOLAR-B」が搭載され、軌道投入を目指します。これまで日本が打ち上げた太陽観測衛星には「ひのとり」「ようこう」があり、どちらもすばらしい成果をあげてきました。「SOLAR-B」が解明を目指す太陽の現象には、私たちの生活に大きくかかわるものもありますので、打ち上げの成功に期待がかかっています。
- ニュース(情報トピックス、2006/08/30) - アトランティス号の打ち上げ再び延期
- ニュース(2006/08/25) - スペースシャトルを継ぐのは「オリオン」
- ニュース(2006/07/14) - 日本の太陽観測衛星「SOLAR-B」打ち上げへ