技術試験衛星「きく8号」 経過は順調
【2006年12月19日 宇宙航空研究開発機構】
18日15時32分にH-IIAロケット11号機で打ち上げられた技術試験衛星「きく8号(ETS-VII)」は、最終軌道(静止軌道)へ向けて順調に動いている。
打ち上げ30分で、「きく8号」は無事ロケットと切り離されたことが確認された。その後、2つの太陽電池パドル(細長い太陽電池パネルとそれを支えるアーム)が正常に展開したことも確認された。一方、最大の特徴である大型展開アンテナは、まだたたまれている。開くのは、静止軌道に乗ってからだ。
静止軌道に乗るまで、「きく8号」は段階的に軌道を変えていく。最初に投入された軌道は、地球からもっとも遠い地点は静止軌道とほぼ同じ高度約3万6000kmだが、近いときの高度は約250kmという楕円軌道だ。ここから4度にわたってエンジンを噴射し、地球に近づいたときの高度を徐々に上げていく。最初のエンジン噴射は19日7時6分から約92分間行われ、無事に第2段階の軌道へ投入された。
現在、「きく8号」は10時間強で地球を1周している。予定では、高度3万6000kmの軌道に乗るのは24日7時ごろ。アンテナが展開し静止軌道に投入されるのは25日の夜だ。成功すれば、関係者にとって何よりのクリスマスプレゼントと言えるかもしれない。