南半球の天文台から見たマックノート彗星
【2007年1月22日 Gemini Observatory / ESO Release / Siding Spring Survey】
現在、南半球の天文台や観測施設で働くスタッフにとって、観測を準備する夕暮れ時がいつもより少しだけ忙しいかもしれない。望遠鏡だけでなく、西の空のマックノート彗星(C/2006 P1)から目が離せないからだ。彼らが写真に収めたその姿を紹介しよう。
アンデスの空にかかる彗星
南米・チリ、アンデス山脈の中央に位置するジェミニ南望遠鏡のスタッフMarie-Claire Hainaut氏は、1月18日に観測の準備をする傍らでこの写真を撮影した。
「望遠鏡の制御室を出て西の空を見たとき、衝撃を受けました…彗星とその驚くほど大きな尾は実に目を見張るような光景だったんです。その晩の観測に備えつつも、できるだけたくさんの写真を撮影しましたよ。」
彗星の頭部はアンダコージョ(Andacollo)の街明かりの上で輝き、尾は高度30度にも達している。
大彗星と大望遠鏡
チリに位置するヨーロッパ南天天文台(ESO)のセロ・パラナル観測所には、大型望遠鏡VLTを筆頭にさまざまな望遠鏡が集まっている。1月18日に撮影されたこの写真には、4基の望遠鏡で構成されるVLTのうちの1基(右)、そして4基の補助望遠鏡のうち2基(左と中央)がマックノート彗星と共に写っている。
千載一遇の天文ショーにESOの天文学者たちは大喜びだ。彼らが撮影したマックノート彗星の写真ギャラリーも公開されている。
発見の地で発見者が撮影したマックノート彗星
最後は、彗星を発見したマックノート氏(R. H. McNaught)自らによる写真だ。彗星を初めて写した観測所と南天の星を背景に、マックノート彗星の尾が長く伸びている。時折バーストを起こすなどしながら移動したことで、彗星の尾には幾重もの筋が見られる。
サイディング・スプリング天文台のウェブサイトではほかにもマックノート氏による彗星の写真が掲載されている。
2006年8月7日にマックノート彗星がサイディング・スプリング天文台のサーベイ画像から見つかったとき、明るさはわずか17.3等級だった。
現在世界中で観測者の目を釘付けにしているマックノート彗星。アストロアーツの投稿画像ギャラリーにも国内外から多数の写真をお寄せいただいているほか、関連リンクでも海外のウェブサイトにあるマックノート彗星のギャラリーを紹介しているのでご覧いただきたい。