ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた蝶ネクタイ型惑星状星雲

【2007年2月16日 Hubble newscenter

太陽のような星が一生の終わりに見せた美しい姿をNASAのハッブル宇宙望遠鏡(HST)がとらえた。星からは、まるで外側の層を脱ぎ捨てるかのようにガスが宇宙空間へ逃げ出しており、周辺に広がったガスは星からの紫外線によって輝いている。


惑星状星雲NGC 2440の画像

惑星状星雲NGC 2440。クリックで拡大(提供:NASA, ESA, and K. Noll (STScI))

HSTの画像にとらえられたのは、われわれから4000光年離れたおおいぬ座にある惑星状星雲NGC 2440である。画像の中心にある白く明るい点は、燃え尽きて白色矮星となった星だ。燃え尽きたとはいえ、摂氏約20万度もあり、もっとも高温の白色矮星の1つとして知られている。

星の最期の姿である惑星状星雲は、天の川銀河に多数存在している。われわれの太陽も50億年後には燃え尽き、惑星状星雲へと姿を変えることになる。

この蝶ネクタイのような複雑な星雲の構造から、この星が物質を決して一定ではなく、きまぐれに放出していることがわかる。噴出のたびに、物質が異なる方向へ吐き出され、このような形となったのだ。星雲にはちりも豊富で、その証拠に中心の星からは長く暗い縞模様が伸びている。

星が吹き出した物質は、元素によって異なる波長で輝く。この画像は、ヘリウムに対応する青、酸素に対応する青緑、水素および窒素に対応する赤でそれぞれ撮影したモノクロ画像を重ねたものである。

先月27日にはHSTの主力観測装置ともいうべき「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」が機能停止に陥ったばかりだが、この画像は代役を果たしている「広視野/惑星カメラ2(WFPC2」が撮影した。