ハッブル宇宙望遠鏡の捉えた宇宙のネオンライト「エイ星雲」
【2004年9月9日 ESA Science - Postcard from space】
この画像は、ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたエイ星雲(Henize 1357)だ。星を取り囲むシェル構造がネオンライトのように輝いているようすが写し出されている。エイ星雲は、現在知られている惑星状星雲の中ではもっとも若く、星雲の詳細な構造は1993年にハッブル宇宙望遠鏡によって初めて明らかにされた。
エイ星雲(Henize 1357)は、われわれから18000光年離れた、南天のさいだん座にある。この画像では、星が一生の終わりに迎える最終段階が捉えられている。中心の星の温度は、まだ充分に高温になっておらず、輝いてはいない。一方、星を取り囲むシェル構造は、ネオンライトのように輝き始めている。このような形成段階にある惑星状星雲の姿によって、われわれの太陽と同じような星の最期についての情報が得られる。
惑星状星雲の形成は、年老いた低質量の星が赤色巨星となるとき、星の外層部分が吹き飛ばされることで起きる。星雲が拡がる一方、中心星の核は高温となって周辺のガスを熱して輝かせる。高温の中心星から吹き出した風がガスを圧縮し、外側へと押し出していくのだ。
エイ星雲では、中心の星が高温となり星雲が輝きはじめてから、まだわずか25年しか経っておらず、ひじょうに若い段階の星雲と言える。星の一生は数百万年程度だが、このような星雲へと変化するにはほんの100年程度、まばたき程度の一瞬の時間しかかからない。