国内現役最古のプラネタリウム投影機、引退へ
【2007年2月28日 日本プラネタリウム協会】
兵庫県明石市立天文科学館のプラネタリウムで稼働する国内最古の投影機が、2010年までに新機種に置き換えられることが明らかにされた。自然な星空の描写にファンも多く、阪神・淡路大震災にも耐えた名機だが、老朽化が進んでいるため、同館のリニューアルを機に長い投影の歴史に幕を下ろす。
神戸新聞などの報道によれば、明石市立天文科学館は開館50周年を迎える2010年にリニューアルされ、プラネタリウム投影機をはじめとした同館の展示が一新される。
プラネタリウム投影機はカール・ツァイス・イエナ社(旧東ドイツ)製で、1960年6月の天文科学館開館当初から星空を投影し続けている。同館は日本標準時子午線上に位置し、時計塔をシンボルとする。その時計ともに歴史を刻んできた投影機は、阪神・淡路大震災で時計が止まっても、同館の設備で唯一被害をまぬかれていた。
しかし、40年以上の時間経過によって投影機も老朽化し、部品の調達も困難になってきたという。操作卓や補助投影機はすでに更新済みだ。
そうした中で明石市は、投影機の更新を含めた天文科学館のリニューアルを平成19年度予算案に盛り込んだ。今後2代目投影機の選定作業がはじまり、2010年のリニューアルオープンに向けて工事が始まる予定。さらに、移動式プラネタリウムを導入するなど、市民がより手軽に星空を体感するための計画もある。
3月17日から25日にかけて、カール・ツァイス投影機は最新鋭の投影機・メガスターIIと共演する。メガスター開発者大平貴之氏の講演会がはやばやと満席になるなど、市民のプラネタリウムへの関心はとても高いと言えそうだ。2010年以降も、同館のプラネタリウムや投影機が愛され続けると願いたい。