チャンドラとハッブルがとらえたηカリーナ
【2007年6月27日 Chandra Photo Album】
NASAのX線天文衛星チャンドラとハッブル宇宙望遠鏡(HST)による、りゅうこつ座のη(エータ)星をとりまく星雲の画像が公開された。
われわれから7500光年の距離にあるりゅうこつ座のη星(ηカリーナ)は、150年ほど前に大爆発を起こした。爆発によって太陽質量の10倍以上の物質が放出されたが生き残り、今も輝いている。そのηカリーナは、核融合の燃料をものすごい勢いで消費していて、まもなく一生の終わりを迎えようとしている。
ηカリーナのたどる運命は、2006年に観測された超新星2006gyと似たものになるだろう。超新星2006gyは、もともと太陽の150倍もある巨大な恒星だったと考えられているが、はるか遠くの銀河で起きたことを考慮すると、実際の明るさは史上最大だったようだ。太陽の100倍から150倍ほどの質量をもつηカリーナの最後の爆発は、月と同じくらいの明るさを放つと考えられている。
HSTの可視光写真(1枚目の画像)には、星から放出されたガスやちりが写っている。星の両極から噴出した物質は、球殻のペアを形成していて、さらに外側にも薄い雲がみられる。
一方、チャンドラがとらえたX線の観測データ(2枚目の画像)からは、ηカリーナから放出された物質が周辺のガスやちりに衝突して、ガスが100万度という高温に加熱されていることがわかる。X線で輝く高温のガスは、可視光で輝いている領域をはるかに越えて広がっている。
また、可視光だけで輝いているように見える内側の星雲も、X線でかすかに照らされている。ηカリーナには伴星が存在し、2つの星が放出するガスどうしが衝突することでX線を生み出しているようだ。この伴星がηカリーナの今までの進化にどのような影響を及ぼしてきたのか、今後どのような影響を与えるのかは、まだよくわかっていない。