2007年7月の星だより
【2007年7月1日 アストロアーツ】
七夕の前後は、星空が一番身近に感じられる季節ですが、皮肉なことに梅雨のまっただ中でもあります。しかし、七夕は一晩限りでも、おり姫星とひこ星の輝きは毎晩変わりません。曇ってもがっかりせずに、次の晴れ間、そして梅雨明けを待ちたいものです。今月注目の現象や天文学の話題を紹介します。
七夕は7月7日とは限らない?
7月の天文イベントといえば、まず思い浮かぶのが「七夕」でしょう。7月7日の夜は、1年で1回だけ、「おり姫星(こと座のベガ)」と「ひこ星(わし座のアルタイル)」が天の川を渡って会うことが許された特別な日とされています。
ふだん星を見る機会のない方も、ぜひ七夕をきっかけに夜空を見上げてみてください。ただし、よく誤解されてしまうことですが、2つの星が出会うのは物語の中だけです。月や惑星などは例外として、星々の位置関係が変わってしまうことはありません。七夕の夜、おり姫星とひこ星は日没とともに東の空に現れて、夜がふけるとともに高度を上げていきます。しかし、天の川をはさんだ距離は、決して変わらないのです(もっとも、淡い天の川は街明かりに消されてしまいますが…)。
もちろん、おり姫星とひこ星が見えるのは七夕の夜だけではありません。いや、それどころか7月7日の夜は2つの星を見るのに向いていません!宵のうちはあまり高く昇りませんし、そもそも季節は梅雨のまっただ中です。
もともと七夕は、いわゆる「旧暦」、つまり東洋古来のカレンダーで7月7日に祝う行事でした。旧暦の日付は、現在使われているカレンダーに比べると1か月ほど遅れています。そのため、1か月後の8月7日に七夕を祝う場所も少なくありません。また、今年「旧暦」の7月7日にあたる日は、8月19日です。
「結局、2人はいつ出会うんだろう」と考え込んでしまうような話ですが、まずは私たちが星空と出会わなければ、思いをめぐらせることもできません。7月の間はいつでもおり姫星とひこ星を見るチャンスだと考えて、梅雨の晴れ間に恵まれたら、東の空に2つの星を探してみましょう。
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- 特集 - 七夕
昼でも見える、宵の明星
春から夕方の空をにぎわせ続けていた宵の明星・金星が、今月で見納めとなります。日没後の高さは、6月上旬をピークに下がり続けていますが、これから急速に太陽へ近づき、8月になると見ることができません。秋から冬にかけては「明けの明星」として日没前の空で輝きます。今度「宵の明星」となるのは、2008年の晩秋です。
今月は金星にとってクライマックスと呼ぶにふさわしい1か月です。上旬のうちは土星とのランデブーを見ることができるほか、12日には明るさが最大となります。今月は「宵の明星」どころか、昼間の空で輝く金星を見ることもできるでしょう。
12日の金星は14時25分に真南を通り、このときの地平線からの高度は65度です。太陽を視界に入れないように気をつけて探してみてください。どうしても見つからない場合は双眼鏡などの手を借りるのもよいですが、決して太陽の方を向けないようにしましょう。
望遠鏡をお持ちの方は、日没後の高度が高いうちに、金星を観察してみましょう。ある程度倍率を上げれば、三日月のように欠けた姿を見ることができます。ちなみに、17日には本物の三日月が金星に接近しますので、双眼鏡と望遠鏡で2つの天体を見比べてみるのがおすすめです。
さらに詳しい情報
- 天文現象ガイド- 7月1日 金星と土星の大接近
- 天文現象ガイド- 7月12日 金星が最大光度
- 天文現象ガイド- 7月下旬 三日月状の金星の姿に注目
- 特集 - 宵の明星・金星
ひさしぶりに好条件の「すばる食」
おうし座のプレアデス星団(すばる)の星が月に隠される、「すばる食」。2006年は6回も見られましたが、皆さんは何回見ることができましたか?今年は3回のすばる食が起きますが、最初に見られるのが今月の11日です。ただし、明け方の現象なので、午前3時ごろに起きていなければいけません。
時間的に厳しいかもしれませんが、月が大きく欠けていてそれほどまぶしくないので、条件としてはまずまずです。主な星が隠されるのは午前3時前後で、双眼鏡で見るのが一番です。
ちなみに、同じ明け方の空では20日前後に水星が見えています。日の出30分前の高度はおよそ10度で、東北東の方角に見えます。6月上旬に夕方の空で見えていた水星を見逃した方は、早くもリベンジのチャンスです。
- 天文現象ガイド- 7月11日 プレアデス星団の食