2007年9月の星だより
【2007年9月1日 アストロアーツ】
暑かった夏が過ぎて暦の上では秋に入り、夜はだいぶ涼しくなってきました。秋の夜といえばお月見。そんなわけで、今月は月を中心に注目の現象や天文学の話題を紹介します。
満月は27日、でも名月は25日
秋を代表する行事に「お月見」があります。お月見は「中秋の名月」の日におこなわれますが、今年は9月25日です。だんごとすすきを供えて、うさぎの形がくっきり見える丸い月をながめる家庭も多いことでしょう。ところが、注意深い方なら月を見て違和感を感じるかもしれません。なぜなら、今年の名月は欠けているからです。
まん丸い満月となるのは、27日のこと。お月見は「満月の夜」に行われるとは限らないのです。
かつて、「中秋の名月」とは「8月15日」のことでした。現在日本で使われている暦は、太陽の動きだけを基準にしています。一方明治5年(1872年)までは、月と太陽両方の動きを計算に入れた暦(太陰太陽暦、旧暦)が使われていたのです。この暦では、1か月は月の満ち欠けに合わせて定められていました。新月の日が1日(ついたち)で、次に新月を迎えるまでが1か月間です。現在、旧暦が公式に計算されることはありませんが、かつてのルールをもとに現在の暦に旧8月15日をあてはめれば、9月25日ということになります。
では、そもそもなぜ「旧暦8月15日」に月を見るのでしょう、そしてなぜその日が満月からずれるのでしょう。詳しくは、月に関する情報を集めた特集「月を見よう」の章「名月は満月とは限らない」で詳しく解説していますので、ごらんください。
お月見のときは、月を見るよりも目の前のだんごをかじってしまうというアナタ。今年はちょっとかじられたような月を見上げて、行事の由来に思いをはせてみませんか。
日本の探査機「かぐや」、月へ!
さて、月と言えば忘れてはいけないのが、今月13日に日本が打ち上げる予定の無人探査機「かぐや」です。
月の探査と言えば、宇宙飛行士が月面に降り立った「アポロ計画」が有名です。ところがアポロ以降長い間、有人探査機はもちろん、無人探査機もほとんど月へ送り込まれていません。アポロ計画で月のすべてがわかったわけではなく、残された謎も多いのですが、米国をはじめ各国の予算とスケジュールが合わなかったのです。
「かぐや」は文字どおりアポロ計画以来最大の月探査ミッションとなります。重さ2t、大きさ約5×2×2mの機体には、15もの観測装置を搭載していて、月を総合的に分析します。もともとミッションの名前は「SELENE(セレーネ)」ですが、一般公募で得票率の高かった「かぐや」という愛称が選ばれました。
日本の技術、そして人々の期待がつまった「かぐや」は、9月13日、H-IIAロケット13号機で種子島宇宙センターから打ち上げられます。世界の目が再び月に集まりはじめている今、先陣を切る「かぐや」には大きな注目が集まっています。ミッションが無事成功することを祈りたいものです。
さらに詳しい情報
- ニュース(2007/08/15) - 月周回衛星「かぐや(SELENE)」、9月13日打ち上げへ
- ニュース(2007/06/06) - 月周回衛星セレーネの愛称は「かぐや」
- ニュース(2007/03/15) - セレーネ「月に願いを!」キャンペーン、応募総数は41万人