2007年10月の星だより
【2007年10月1日 アストロアーツ】
衣替えの季節となりました。夜空もすっかり装いを変えて、星が少なくて寂しい秋の星座が主役です。しかし、明るい星が少ないとはいえ昼に比べて夜はどんどん長くなり、天体観察にはうってつけの季節がやってきます。もちろん、見どころもたくさん。今月注目の現象や天文学の話題を紹介します。
意外にも今月はチャンス 惑星を一気に見よう!
今年は年始から土星が見ごろで、春には宵の明星・金星が輝き、夏とともに木星観察のシーズンが到来しました。しかし今は、土星と金星が夕方の空から消え、木星も日没の時点で西に大きく傾いています。秋の夜空を彩る星座には明るい星がわずかしかありませんが、惑星も夜空から去ってしまったのでしょうか。
いいえ、惑星の居所をよーく調べてみると、今月は案外惑星探しに向いていることに気づくはずです。
まずは天王星と海王星。肉眼では(ほとんど)見えない2つの惑星ですが、宵から深夜にかけて南の空に高く昇ってくるので、今が好期です。双眼鏡や望遠鏡を使った観察に挑戦してみませんか。天王星は5.8等でみずがめ座にあります。4.2等のみずがめ座φ(ファイ)が目印です。海王星は7.9等でやぎ座にあります。2つの4等星、やぎ座γ(ガンマ)とι(イオタ)の間を注意して探してみましょう。
さて、夜半ごろになると東から早くも冬の星座が昇ってきます。秋の星座とうってかわって1等星だらけのにぎやかな光景ですが、その中に火星の姿があります。火星が地球に最接近するのは12月のことですが、今のうちから見ておいて損はありません。ふたご座の足もとには有名な散開星団M35がありますが、火星がこのM35に大きく近づくのです。一番近づくのは10月4日未明ごろですが、上旬のうちなら双眼鏡や低倍率の望遠鏡で楽しめるでしょう。
さて、今年の前半に夜空を飾っていた土星と金星ですが、7月に夕方の空で大接近したあと相次いで見えなくなっていました。この2つの惑星が、今度は明け方の空で高度を上げています。「明けの明星」となった金星は、今月29日には西方最大離角、つまり太陽から一番離れた状態になります。早起きして東の空を見ればまず見逃すことはないほどの明るさです。一方、金星に比べれば明るさがひかえめな土星は、今月初めには金星より低い位置にあるものの、徐々に高度をあげ、15日には金星とランデブーしてそのまま追い抜きます。ちなみに、7日から8日にかけては細い有り明けの月が2つの惑星と相次いで接近するので、ぜひとも見ておきたいところです。
ここまで見れば、8惑星中7個を見たことになります。残る水星は、来月9日に明け方の空で観察の絶好期を迎えるので、「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーンに参加している方は今が勝負時です。まだ参加されてない方は、これを機会に惑星を見て認定証をもらうのに挑戦してみてはいかがでしょう。
さらに詳しい情報
- 「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーン
- 天文現象ガイド- 10月4日 火星と散開星団M35が大接近
- 天文現象ガイド- 10月29日 金星が西方最大離角
- ニュース(2007/06/01) - 【イベント情報】「惑星ぜんぶ見ようよ☆」キャンペーン 〜惑星観察認定証をもらおう〜
油断できない2つの流星群
流星を見るのがお好きなら、今月は2つの流星群に要注意。
1つ目は9日の夕方が極大の「ジャコビニ流星群」です。この流星群は「ジャコビニ・チンナー彗星」がばらまいたチリが地球とぶつかることで見られるので、彗星の通過直後は大出現が見込まれます。前回の通過からすでに2年経過しているので、流星の数はあまり多くないでしょう。しかし、この流星群の見どころは数だけではありません。チリが大気圏に突入するスピードが遅いので、「ふわっとした」という形容がぴったりな、独特の流星が見られるのです。
2つ目は、21日深夜のオリオン座流星群。こちらは有名な「ハレー彗星」のチリが由来です。流星群としてはあまり出現数が多くないので、母彗星に比べると知名度が高いとは言えません。昨年の星だよりでも「派手さのない流星群」と紹介していました。ところがふたを開けてみれば、昨年10月21日のオリオン座流星群はペルセウス座流星群にも匹敵するほどの大量出現だったのです。今年も注目しないわけにはいきませんね。
さらに詳しい情報
- 天文現象ガイド- 10月9日 ジャコビニ流星群が極大
- 天文現象ガイド- 10月21日 オリオン座流星群が極大
- ニュース(2006/10/23) - 【速報】オリオン座流星群が突発出現
- ニュース(2006/10/30) - 【投稿画像集】2006年 オリオン座流星群