JAXAのチームがステラハンターで発見した小惑星、番号登録される
【2007年10月15日 アストロアーツ】
移動天体の検出技術を研究している宇宙航空研究開発機構(JAXA)のチームが昨年「ステラハンター・プロフェッショナル」を使って発見した2つの小惑星に、小惑星番号が与えられた。
JAXAの総研本部宇宙先進技術研究グループ・スペースデブリユニット観測技術セクション(以下観測技術セクション)では、未知の小惑星や地球に接近する天体の発見やスペースデブリ(過去に打ち上げられて不要となった人工物体、いわゆる宇宙ゴミ)の対策を目的として、移動天体を検出する技術の研究を行っている。
観測技術セクションでは、ソフトウェア「ステラハンター・プロフェッショナル」のカスタマイズ版を使い、すでに249個(10月12日現在)の小惑星を発見している。そのうち、昨年の3月と5月に発見した2つの小惑星の軌道が早くも確定し、同ソフトウェアによって発見された小惑星としては初めて、番号が登録された。2つの小惑星に与えられた登録番号は、2006年3月3日発見の2006 EV1が(164473)、2006年5月2日発見の2006 JC6が(164538)である。
新しい小惑星が発見されると、まず発見時期などを示す仮符号が付けられる。その後の観測で軌道要素が確定すると正式登録となり、小惑星番号が与えられる。そのため、発見から登録まで数十年を要することもある。
観測に使用された「ステラハンター・プロフェッショナル」は、観測技術セクション(旧 スペースデブリセクション)とアストロアーツが共同開発したもので、小惑星、彗星等などの移動天体の自動探索や追跡、報告にいたるまでの機能を備えている。
2つの小惑星は、発見時の明るさがそれぞれ20.8等、21.1等とひじょうに暗く、「ステラハンター・プロフェッショナル」のもつ高い能力が、このような微光天体の発見を可能とした。
「ステラハンター・プロフェッショナル」では、連続撮影したCCD画像を移動天体モーションに重ねることで、1枚の画像では確認できなかった彗星・小惑星を発見できる。40枚の画像を重ねれば、2倍の口径の望遠鏡に匹敵する微光天体を見つけることも可能だ。
小口径の望遠鏡で発見できる天体の明るさには、限界がある。大規模なサーベイが世界各地で展開される中、このソフトウェアを使用することにより、微光小惑星の発見におけるアマチュア天文家の活躍が、まだまだ期待できるといえるだろう。
なお、「星ナビ」2007年12月号(11月5日発売)では、「ステラハンターによるJAXA入笠山観測所の小惑星探し」について、詳しく紹介する予定である。
《番号登録された2つの小惑星》
小惑星番号 | 仮符号 | 発見日 | 明るさ |
---|---|---|---|
(164473) | 2006 EV1 | 2006年3月3.60125日(UT) | 20.8等 |
(164538) | 2006 JC6 | 2006年5月2.64080日(UT) | 21.1等 |
「小惑星の番号登録記念セール」を開催
アストロアーツのオンラインショップでは、小惑星番号の登録を記念し、「ステラハンターで発見!小惑星の番号登録記念セール」を本日10月15日より開始する。
セールの期間は年内いっぱいで、天体撮像ソフトの決定版である「ステラギア(販売終了)」を通常価格36,750円のところ、29,400円(税込)にて、また、「ステラハンタープロフェッショナル」を通常価格102,900円のところ、79,800円(税込)で購入することができる。