土星の衛星エンケラドスで、氷が噴き出す地点を特定
−見つかるか、液体の水
【2007年10月17日 JPL News Releases】
土星の衛星エンケラドスでは、水の氷の結晶が火山のように噴出していることが知られ、注目を集めている。NASAの土星探査機カッシーニの2年間にわたる観測で、噴出口の位置がピンポイントで特定された。そこは周辺に比べて温度が高く、液体の水がたまっているかもしれない。
2005年に、カッシーニはエンケラドスの南極に複数の巨大なひび割れを発見した。ひび割れは平行に走っていることから「タイガーストライプ(虎縞)」と呼ばれている。
一方、エンケラドスは地質学的に活発で、水の氷の細かな結晶を含むジェットが火山のように噴出していることもわかった。その噴出口は南極付近にあり、タイガーストライプとの関連が疑われていた。
カッシーニの画像の解析に携わる研究チームは、約2年間にわたりとらえられてきた画像から噴出の位置と向きを計測し、ピンポイントで噴出口を同定することに成功した。明らかとなったのは8つの噴出口で、どれもタイガーストライプの中に位置していた。さらに、噴出口の多くは、エンケラドスの表面で特に高温な領域に存在していた。
地球の火山口には溶岩がたまっているように、エンケラドスの噴出口には液体の水がある、と研究チームは考えている。しかし、本当に水があるのか、あるとしたらどれくらい深いところにたまっているのかは、依然として謎のままだ。
カッシーニは来年3月にエンケラドスをかすめ、噴出物の組成やそのメカニズムに迫る予定だ。