【新製品情報】ライブビュー機能を搭載したキヤノンEOS Kiss X2発売

【2008年3月25日 キヤノン

キヤノンからデジタル一眼レフカメラEOS Kiss X2が発売された。人気のエントリーモデルEOS Kiss Digital Xの上位機種としての登場だ。ライブビュー撮影ができるなど、天体撮影用途でもうれしい進化を遂げている。


(キヤノン EOS Kiss X2の画像)

キヤノン EOS Kiss X2。装着されているレンズはEF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS(提供:キヤノンマーケティングジャパン株式会社)

2008年3月21日、キヤノンのデジタル一眼レフカメラEOS Kiss X2が発売された。同社の製品ラインアップとしては、2006年9月に発売されたEOS Kiss Digital Xの上位機種という位置づけでの登場だ。EOS Kiss Digitalシリーズは一眼レフカメラ市場を活気づけているヒット商品として知られるが、天体写真分野でも、入門用のエントリークラスのカメラとして、またハイアマチュアにも使いどころのあるカメラとして人気が高い。EOS Kiss X2は、そのEOS Kiss Digitalシリーズで初めてライブビュー機能が搭載された注目の新製品だ。アストロアーツ星ナビ編集部ではEOS Kiss X2の画質の評価を終えていないが、天体撮影用途における仕様の見どころを概観してみよう。

撮像素子は有効画素数約1220万画素のCMOSセンサーを採用。画素数では約1010万画素のEOS Kiss Digital XやEOS 40Dを上回る。第2世代オンチップノイズ除去回路の搭載や、半導体製造工程の改良などにより、多画素化を図りながらも低ノイズを実現しているという。映像エンジンはEOS Kiss Digital Xの「DIGIC II」から、EOS 40Dと同じ「DIGIC III」となっている。

天体撮影用途で最大の関心事は、液晶モニタでリアルタイムの映像を見てピントや構図を確認できるライブビュー撮影機能だろう。画面内のピントを確認したい箇所にフレームを移動して5倍、10倍の拡大表示もできる。また、水平垂直の確認に便利なグリッド表示は、望遠鏡に取り付けたときに星の日周運動で東西方向を把握して構図を決めるのにも役立ちそうだ。背面の液晶モニタだけでなく、パソコンとカメラをケーブルで接続すれば、付属のソフトウェアEOS Utilityを介してリモートライブビュー撮影も可能だ。パソコン画面上のライブビュー画面を見ながらピント合わせを行い、ISO感度、バルブの露出時間、撮影インターバルなどもパソコン画面から設定して撮影できる。

EOS Kiss Digital Xと比べると、外観や操作性にもいろいろな違いがある。まず何といってもボディ背面の液晶モニタが3.0型と大型化している点が目をひく。液晶モニタのバックライトは高輝度化されているが、画面の配色は4色から選ぶことができ、輝度調整は7段階あるので、暗闇でのまぶしさを和らげるには暗めに設定するとよいだろう。液晶モニタの大型化に伴い、ボディ背面のボタン類のレイアウトも大きく変更されている。EOS Kiss Digital Xでは縦に隣り合っていた再生ボタンと消去ボタンが、EOS Kiss X2では十字キー側の離れた位置に配置されている。暗闇で手探りで操作することが多い天体撮影においては、画像を消去してしまうミスを防ぐ上で嬉しい変更点と言えるだろう。EOS Kiss Digital Xよりもさらなるボディの軽量化、バッテリーの長寿命化、ファインダーの明るさアップがなされているなど、改良点は数多い。また、EOS Kiss Digital Xと同じく、撮像素子の総合的なダスト対策も施されている。

記録メディアがSDカードであることなどは購入前に知っておきたい点である。バッテリーパックと充電器、ACアダプター(別売)、バッテリーグリップ(別売)などはEOS Kiss X2用のもので、今のところこれらのアクセサリを共用できる他の機種はない。リモコン端子は従来どおりで、リモートスイッチはEOS Kissシリーズ共通でRS-60E3が使える。

機能充実のEOS Kiss X2を選ぶか、それとも実勢価格の下がっているEOS Kiss Digital Xを選ぶか、エントリークラスの選択肢が増えたことは歓迎すべき状況だ。さらに上位機種EOS 40Dとの比較では、ボディの質感やファインダー倍率、対応アクセサリの差などが判断のポイントになるだろう。いずれにせよ、EOS Kiss X2は天体写真入門機として有力な選択肢であることは間違いない。ボディカラーはブラックのみ。実勢価格は90,000円前後(ボディのみ)。仕様の詳細や一覧については、キヤノンのウェブサイトを参照のこと。