ESAのマーズ・エクスプレス、火星の衛星フォボスを激写
【2008年7月31日 ESA Mars Express】
火星を周回しているヨーロッパ宇宙機関の探査機マーズ・エクスプレスは7月23日、火星の衛星フォボスから93kmの距離を通過した。高解像ステレオカメラで撮影された、1画素あたり3.7mという高い分解能の画像が公開されている。
火星を周回し探査を続けているヨーロッパ初の惑星探査機、ESA(ヨーロッパ宇宙機関)のマーズ・エクスプレスは、7月下旬、火星の衛星フォボスに接近した。最接近は7月23日6時49分(ヨーロッパ中央夏時間)で、フォボスから93kmのところを秒速3kmで通り過ぎた。
探査機に搭載されている高解像ステレオカメラはフォボスの表面をこれまでになく詳細にとらえた。マーズ・エクスプレスは2004年にもフォボスに200km以下に接近して1画素あたり7mの画像を撮影しているが、今回の接近距離はさらに近く、最高で1画素あたり3.7mという分解能だ。起伏に富んだ表面の様子を赤青めがねで眺められる3D画像も公開されている。
フォボスはかつて小惑星だったものが火星の引力で捕獲されて衛星になったものと考えられている。サイズは27km×22km×19kmという小さな衛星だ。以前の探査からフォボスの表面には様々なサイズの衝突クレーターが存在すること、レゴリスと呼ばれる細粒の堆積物で覆われていること、黒っぽい物質が露出していることなどがわかっていた。今回の接近時の観測からは、フォボスの質量や密度がさらに正確に決定されることになるだろう。また、可視光、赤外線、レーダー、プラズマによる多角的な観測で、フォボスの構造にせまることも期待されている。