宮城県の地名「鳴子」が、火星のクレーターに
【2008年8月7日 大崎生涯学習センター】
火星の小さなクレーターが、宮城県の旧鳴子町にちなんで「Naruko」と命名されたことが明らかになった。火星の小クレーターには世界各地の小さな町や村の名前がつけられるが、Narukoを含めて10個が日本に由来している。
「Naruko」は1月18日に、火星のクレーター名として国際天文学連合(IAU)に正式に承認された。火星の地形の命名事情に詳しい広島県廿日市市の佐藤健氏が、東亜天文学会機関誌「天界」の2008年7月号で報告した。
地球を除く太陽系天体の地形名には、天体や種類ごとに一定の規則があり、火星のクレーターのうち直径60km以下のものには、原則として世界各地の人口10万人以下の町や村の名前がつく。しかし、太陽系天体の地形名を管理する米国地質調査所(USGS)の公式発表では、由来となった町が所在する国名だけしか明らかにされない。Narukoには「かつて日本にあった町」という説明がついているのみだ。
Naruko=鳴子町はかつて宮城県に存在し、現在は合併して大崎市の一部となっている。命名を伝え聞いた大崎生涯学習センターの遊佐氏が佐藤氏やIAU火星命名委員長のBradford A. Smith氏らに問い合わせたところ、確かに宮城県の旧鳴子町にちなんだ命名だったとのことだ。
地球の鳴子(宮城県旧玉造郡鳴子町)は有名な温泉地。2006年3月31日に古川市などと合併して大崎市鳴子温泉地域となった(合併時の人口は8363人)。
火星のNaruko(南緯 36.25゚、西経 161.8゚)は、南半球の「シレーンの海」付近にある直径4.4kmのクレーター。小さすぎて地球からは見ることができないが、1960年代から70年代にかけて火星を訪れた探査機がその姿を撮影している。
なお、Naruko以外にも、Wassamu(おそらく北海道和寒町)やBise(おそらく沖縄県本部町備瀬)など9つの日本の地名が火星のクレーターになっている。また、直径60km以上の火星クレーターには火星の研究に貢献した科学者にちなんで命名され、日本人ではSaheki(アマチュア天文家の佐伯恒夫氏)とMiyamoto(天文学者の宮本正太郎氏)の2人の名前がある。