アマチュア天文家 故・佐伯恒夫さんの名が火星の地名に

【2006年1月23日 2006 CMO News

広島県廿日市市の元プラネタリウム解説員佐藤健氏に入った連絡によれば、佐藤氏が2001年に行った提案が受け入れられ、日本の火星観測の第一人者である故・佐伯恒夫氏(1916〜96)の名が火星の直径85キロメートルのクレーターに「Saheki」としてつけられることが明らかとなった。


(「Saheki」と名づけられるクレーターの画像)

2006年8月の国際天文学連合(IAU)総会で正式に命名されるクレーター「Saheki」の画像。クリックで拡大(提供:MOC, MGC, NASA/JPL/MSSS)

日本人の名前としては初めてとなるクレーター「Saheki」は、有名なホイヘンス・クレーターに近く、形もなかなか美しい。この命名については、すでに国際天文学連合(IAU)のワーキンググループによって承認されており、今年8月にプラハで開催される同連合の総会で正式発表される。

米・天文雑誌「Sky & Telescope」2005年12月号には短いながら、佐伯恒夫氏の功績について触れる文章が載せられている。鋭い目を持って長年にわたり火星の観測を続け、世界的に知られる大シルチスの西に小さな明るい領域を発見したことなどに触れながら、同氏による火星の閃光(せんこう)現象の観測を評価する内容となっている。

佐伯恒夫氏は、独学で天文学を学び、その50年にわたる火星の観測は世界的に知られている。また、著書やテレビ・ラジオなどを通じて天文学の普及に尽力し、東亜天文学会や、日本暦学会の会長も務めた。