【製品情報】ペンタックスK20D「天体用モデル」開発中

【2008年9月2日 アストロアーツ】

ペンタックスは、デジタル一眼レフカメラK20Dの天体撮影向けモデルを試作していることを明かした。市場投入は未定とのことだが、赤外カットフィルターの除去や手ぶれ補正機構の無効化による省電力化など、天体撮影に特化した仕様は注目に値する。


(ペンタックス K20D改造機の写真)

胎内星まつりに登場したK20D改造機。外見は通常のK20Dとまったく変わらない。

(K20D改造機と無改造機による作例の違い)

M8とM20を撮影した作例。左が改造機で、右が通常のK20D。M8の周辺部など、ほとんど写っていなかった星雲が鮮やかに描写されていることがわかる。クリックで拡大

K20Dは、3月7日にペンタックスが発売したハイエンドのデジタル一眼レフカメラ。有効画素数約1460万画素のCMOSセンサーを搭載し、ゴミ除去機構やライブビューなど天体撮影に有用な機能が多い。

このK20Dを天体撮影向けに改造した試作機が、新潟県胎内市で8月22日から24日まで行われた「第25回胎内星まつり」でペンタックスのブースに登場した。天体写真ファンの間では市販モデルを天体撮影向けに改造したカメラが使われることが多いが、過去にカメラメーカーが既存の機種の仕様を天体撮影向けに一部変更して発売したのは、キヤノンのEOS 20Daのみである。

デジタル一眼レフで天体を撮影するときに問題となるのが、撮像センサーの手前に赤外カットフィルターが取り付けられているため、赤外域に近い波長(Hα輝線・656nm)で輝く赤い星雲を写しにくいことである。天体撮影向け改造と言えば、この赤外カットフィルターの除去やさらに長波長域まで透過するフィルターに換装することを意味する。

もちろん、K20Dの改造試作機も赤外カットフィルターを取り外している。そのため、M8とM20を撮影した作例を見くらべると、星雲周辺の淡い構造もくっきりと浮かびあがっていることがよくわかる。なお、試作機では全波長を素通ししていたが、天体用に調整した赤外カットフィルターの取り付けを検討しているとのことだ。

もうひとつのポイントは、ボディ内手ぶれ補正機構(SR)を無効にしていることだ。必ず三脚に固定して行う天体撮影では、SRは余計に電力を消費するだけの機能となってしまう。現行のK20DでもSRのオン/オフは切り替え可能だが、最初から無効化することでいっそうの省電力化を図っている。

気になる製品化についてだが、担当者によれば「現在では未定」とのこと。今後、試作機に対するユーザーの反応を見ながら判断するという。胎内星まつりのペンタックスブースには次々とファンが訪れ、熱心に説明を聞くようすが見られた。今後の動向が楽しみである。

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