はくちょう座χの極大
【2008年10月28日 アストロアーツ】
約400日周期で明るくなる変光星はくちょう座χは、2年前は記録的に明るく、昨年はひじょうに暗い極大だった。今年は10月下旬に極大を迎えたが、比較的明るくなっているようだ。
文:滋賀県ダイニックアストロパーク天究館 高橋進さん
はくちょう座χ(χ Cyg)は、周期およそ406日のミラ型変光星です。ミラ型変光星としてはミラに続いて2番目に発見された星で、明るさはおよそ4等から13等の間を変化します。この変光範囲はミラ型変光星の中でもたいへん大きなもので、そのダイナミックな変光からも観測者から大いに注目されている星です。
このχ Cygがは今年の5月下旬におよそ13等台後半の極小を迎えたあと、9月にこの星特有の停滞期を見せ、その後急速に明るさを増していましたが、10月下旬現在、ほぼ極大に達したと見られています。正確な極大日は観測データの集計を待たないと何ともいえませんが、今回はおよそ4等のわりと明るい極大になったようです。
前回(2007年9月)は5等台後半のかなり暗めの極大で肉眼では見るのが困難でしたが、今回は空の暗いところでは肉眼ではっきりと確認できる極大になりました。11月前半くらいまでは明るい状態で楽しめるかと思われます。χ Cygの明るい極大のときははくちょう座の首が少しねじれるというのが話題になりますが、この機会にぜひ首のねじれた白鳥をお楽しみください。
なお変光星観測としての楽しみは、実際には極大前の急速に明るくなっていく時期にあります。今回のχ Cygも10月初旬から中旬の2週間ほどの間に7等台半ばから5等にまで明るくなっており、毎日どんどん明るさが増していくようすが楽しめました。残念ながらχ Cygの増光期はもう終わってしまいましたが、12月に極大が予想されているくじら座のミラが、11月10日ごろから25日ごろにかけて、やはり日に0.1等以上の急速な増光が見られるのではと期待されています。ちょうど日本変光星研究会の「クリスマスにミラを見ようキャンペーン」が行われていますので、ぜひこの機会にミラの変光をお楽しみください。