砂丘から明らかに、タイタンの風向き

【2009年3月3日 NASA Mission News

土星の衛星タイタンにおける風向きの分布を示した地図が作られた。NASAの土星探査機カッシーニがタイタンの地表に見られる砂丘を観測したデータを元にしている。この地図から、タイタンではこれまでに考えられていた方向とは逆向きに風が吹いていることが明らかとなった。


(タイタンにおける風向き(白い矢印)を示した地図)

砂丘のレーダー観測のデータを元に作成された地図。白い矢印が風向き。クリックで拡大(提供:NASA/JPL)

土星の衛星タイタンには広大な砂の海が広がっていて、そこに見られる砂丘は、まるで風見鶏のように風向きを教えてくれる。4年間にわたりタイタンの砂丘をレーダー観測してきたカッシーニの高解像度データをもとに、タイタンにおける風向きの分布図が作られた。

カッシーニのレーダー科学者で米・ジョンホプキンス大学のRalph Lorenz氏は「タイタンに雲はほとんどありませんから、どちらの方向に風が吹いているかを決定するのも容易ではありません。しかし、砂丘の形が示す向きをたどることで、タイタン全体における風のパターンを推測できます」と話している。

今回の「風向きの地図」作りによって、タイタンでは風が東向きに吹いていることが明らかとなった。これは、従来の大気の循環モデルによる予想と逆である。

これまでカッシーニは何度もタイタンに接近しては表面のようすを調べてきた。今年もに計17回の接近が計画されていて、次回は3月27日の予定だ。