銀河には隠れた星がいっぱい
【2009年8月28日 JPL】
銀河における大質量と低質量の星の割合は、これまではどこでもほぼ1対500だと考えられてきた。しかし、いくつかの銀河では、大質量星1個に対して低質量星が約2000個も存在していることが明らかになった。
天文学者は何十年もの間、質量の大きな星と小さな星の割合が一定であると仮定して宇宙論を語ってきた。その基準によれば、太陽の20倍以上の質量を持つ星1つに対して、太陽以下の星は約500個である。
しかし、NASAの紫外線天文衛星GALEXと南米チリにあるセロ・トロロ汎米天文台の望遠鏡が複数の銀河を観測した結果、大質量星1つに対して小質量星が2000個も存在していることが明らかになった。
地上の望遠鏡がとらえた可視光はフィルターに通され、質量が太陽の20倍以上の星だけが写るように工夫された。一方、GALEXが観測する紫外線は、太陽質量の3倍ほどまでと比較的小さい恒星に対して感度が高い。これまで明るい星に隠されていた多くの星からの光がとらえられ、銀河によって大質量と小質量星の割合が異なる可能性が示されたのである。
米・ジョンズ・ホプキンス大学の主任研究員であるGerhardt R. Meurer氏は「この研究が指摘するのは、明るい星がすべての星の個数を教えてくれるという大前提が、少なくとも一律には適用できないということです」と話す。
夜の地球を衛星軌道から観測して人口を推計するとしよう。アメリカ西海岸のロサンゼルスは、明かりを見れば大都市であることがすぐにわかる。一方、電力網があまり発達していない地域の人口は、確実に少なく見積もられるだろう。
銀河の場合も同様で、星の光だけを頼りにするとまちがった答えを出しかねない。とくに規模が小さな銀河には、明るい星から見積もられる以上に多くの星が潜んでいる可能性があるのだ。