月面に残されたアポロ14号の軌跡

【2009年8月31日 NASA

NASAの月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)が、アポロ14号の宇宙飛行士が船外活動で残した軌跡をとらえた。


(LROがとらえたアポロ14号の宇宙飛行士が残した軌跡の画像)

LROがとらえたアポロ14号の宇宙飛行士が残した軌跡。クリックで拡大(提供:NASA/GSFC/Arizona State University)

NASAの月探査機ルナー・リコナサンス・オービター(LRO)が、アポロ計画の着陸地点を初めて撮影してから約1か月が過ぎた。

LROが再びアポロ14号の着陸地点を撮影したとき、太陽光は前回より24度高い角度から指していた。そのためクレーターの影が少なく、鮮明な画像となっている。アポロ計画の宇宙飛行士が月面に着陸し、月面を移動し、再び月面から飛び立った跡を見ることができる。

アポロ14号で月に降り立った宇宙飛行士、アラン・シェパードとエドガー・ミッチェルの2人は、船外活動でフラ・マウロ(Fra Mauro)と呼ばれる周囲の高地を探索した。とくに重要な目的地となったのが、コーン・クレーター(Cone Crater)だ。月の地下に眠る物質が露出していて、貴重なサンプルが採集できると考えられたからである。

アポロ14号の宇宙飛行士の歩みを、まるで公園の散歩のように考える人もいるだろう。しかし、実際はかなりの困難を極めた。史上初めて宇宙飛行士が着陸機から見えない場所に移動したのである。しかも、格好は動きにくい宇宙服、丘の高さは1400m、精密な地図もなく、装置や採取したサンプルを乗せたカートを引いて進まなければならなかった。2人は目指すクレーターまでどれくらい近づいたのかもわからないまま進み続け、酸素の残量が少なくなったところで、あえなく引き返すこととなった

現在まで、2人の宇宙飛行士がどの辺りまで進んだのかは、だれにもわかっていなかったが、LROがとらえた画像には、2人が歩んだ軌跡が見られ、クレーターの約30mほど手前で引き返したことが明らかとなった。

画像中、一番左にあるのがALSEPで、その右が着陸船「アンタレス」の下降段である。さらに右上に位置するコーン・クレーターへ宇宙飛行士が進んだ跡が、細い筋となって見えている。