なぞの天体は、大質量の白色矮星だった
【2009年9月10日 ESA】
ヨーロッパ宇宙機関(ESA)のX線観測衛星XMM-Newtonによる観測で、1997年に発見されたX線天体が、大質量の白色矮星であることが明らかとなった。この天体は13秒の周期で自転しており、これまでに知られている白色矮星の中では最速である。
1997年に、とも座の8等星HD 49798の近くに13秒の周期で規則正しく変化するX線を放つ天体が発見されたが、その正体はわからなかった。イタリア天体物理・宇宙物理研究所(INAF-IASF)ミラノ事務所のSandro Marghetti氏らは、ESAのX線観測衛星XMM-Newtonを使った観測で、この天体が13秒周期で自転する白色矮星であることを明らかにした。
白色矮星のほとんどは、地球くらいの大きさで太陽の0.6倍ほどの質量を持つ。しかし、この白色矮星の質量は太陽の1.3倍もある。その理由は、HD 49798から取り込んだガスが降り積もったためだと考えられている。また、13秒という自転周期は、これまでに発見されたどの白色矮星よりも速い。
白色矮星に別の星から物質が流れ込み、質量が太陽の1.4倍に達すると、暴走的核融合が起きて超新星爆発を起こす。今後数百万年のうちに、この白色矮星は吹き飛んでしまうか、つぶれてさらに密度の高い天体になると考えられている。
爆発による影響は地球には及ばないが、われわれの子孫は、夜空で満月ほどの明るさを放つ星を見ることになるだろう。また、その姿は昼間でも肉眼で観測できるほどと予測されている。XMM-Newtonは、そんなドラマが始まる現場を現代のわれわれに見せてくれたのである。