系外惑星で2例目の有機物発見

【2009年11月6日 Spitzer NewsroomJPL

150光年の距離にある高温のガス惑星から、メタンや二酸化炭素が検出された。メタンのように生命に関わりのある有機物が太陽系以外の惑星で観測されたのは、これで2例目。


HD 209458bの想像図

HD 209458bの想像図。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/T. Pyle (SSC))

NASAジェット推進研究所のMark Swain氏らは、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)や赤外線天文衛星スピッツァーを使い、HD 209458bと呼ばれる系外惑星を観測した。HD 209458bは、ペガスス座の方向約150光年の距離にある有名な系外惑星で、これまでも水蒸気など大気の成分が観測されている。

同チームの観測では、HSTの近赤外線カメラと多天体分光器で水蒸気や二酸化炭素、メタンなどを検出し、スピッツァーの測光器と赤外線分光器で存在量を調べた。

2008年に、同チームはHD 189733bと呼ばれる系外惑星で初めて有機物を検出している。HD 209458bとHD 189733bとでは、水と二酸化炭素の量は同程度だが、HD 209458bの方がメタンが多い。これについてSwain氏は、「豊富なメタンは、この惑星が何か特別なプロセスを経て形成された可能性を示唆しています」とコメントしている。

系外惑星の多くは高温の巨大ガス惑星だが、HD 209458bとHD 189733bと同様の分析は、ほかのガス惑星にも適用できるという。そうしてデータが蓄積されれば、やがて地球のように小さな岩石惑星で有機物を探すときの参考になるだろう。

今回の成果についてSwain氏は、「2つの系外惑星で有機物が見つかったことで、生命につながる物質を抱える惑星がいたるところに存在する可能性が高まってきました」と話している。

ステラナビゲータ Ver.8で系外惑星の位置を表示

ステラナビゲータ Ver.8では、惑星の存在が確認された約350個の恒星を、追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しています。ステラナビゲータ Ver.8をご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。なお、今回観測対象となった系外惑星HD 209458bが公転している恒星(HD 209458)は、コンテンツ・ライブラリのデータでは「V376 Peg」という名前で登録されています。