2010年元日の早朝に起こる部分月食

【2009年12月28日 国立天文台 アストロ・トピックス(526)】

2010年元日の早朝に西の空で部分月食を見ることができる。日本の歴史上、元日に起こる月食は初めのこと。満月の縁のほんの一部が欠ける微妙な部分月食とはいえ、肉眼でもはっきりとわかる現象なので、ぜひ眺めてみてほしい。


アストロ・トピックスより

2009年は7月の皆既日食に日本中が沸いた年でしたが、2010年は月食の年といえるでしょう。なにしろ、月食が3回も起こる上、そのどれもが日本から観察可能(注)だからです。

月食とは太陽−地球−月が直線に並び、月が地球の影に入り込むため、満月の一部または全部が欠けたように見える現象です。月全体が影にすっぽりと入り込むと、月全体が暗くなる皆既月食になりますが、月が地球の影をかすめると、月の一部だけが欠ける部分月食となります。2010年には部分月食が2回、皆既月食が1回、合計3回の月食があります。

2010年最初の月食は部分月食で、元日の早朝に起こります。食が始まるのは午前3時52分頃、終わるのは午前4時54分頃で、食の最大は午前4時23分頃となります。ただ、今回の部分月食では、地球の影は最大でも月の直径の8パーセントまでしか入り込みません。つまり、満月の縁のほんの一部が欠けるにすぎない微妙な部分月食と言えるでしょう。それでも、部分月食は肉眼でもはっきりとわかる現象ですので、ぜひ眺めてみたいものです。なにしろ、年越しの夜ですので、この時刻に起きている人も多いでしょう。

また、日本の歴史上、元日に起こる月食は実は初めてと言えるのです。というのも、明治以前の暦は月の満ち欠けをもとにした太陰太陽暦でしたから、元日は必ず新月であり、満月になることはなく、原理的に月食は起こりません。また、現在の暦への改暦以降では、元日に月食が起こるのは、2010年が初めてになるからです。その意味で、珍しい月食といえるかもしれません。

2010年は、6月26日にも部分月食が、そして12月21日には皆既月食が起こり、それらすべてが日本で観察可能という珍しい年でもあります。目に見えないような月食(半影月食)を除けば、1年に3回の月食が起こったのは、前回が1982年、その前は1917年でした。また将来はというと、次が2029年、その次は2094年までありません。3回の月食がすべて日本で見えるという条件を付ければ、次回は84年後の2094年までありません。

2009年の日食は天候に恵まれませんでしたが、2010年の月食は、ぜひ晴天となって、多くの人が観察できることを願っています。

注:6月26日と12月21日の月食では、食の始まり(欠け始め)が月の出前後になるため、食が始まるところを見ることのできない地域があります。

<参照>

  • 国立天文台 アストロ・トピックス(526): 元日の早朝に起こる部分月食

<関連リンク>