火星探査機フェニックスは生き延びているか、NASA確認へ

【2010年1月21日 NASA

NASAは、火星上空を周回中の探査機「マーズ・オデッセイ」を使い、2008年11月に通信が途絶えた火星探査機フェニックスからの信号を探す。過酷な火星の冬を生き延びて、通信などを行える状態にあるかどうか確認を試みるのだ。


(1月6日に撮影されたフェニックス周辺の画像)

2010年1月6日にマーズ・リコナサンス・オービター(MRO)が撮影したフェニックス周辺の画像。拡大画像に見られる3つの四角の中が、それぞれフェニックス、バックシェルおよびヒートシールド。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

火星探査機フェニックスは、2008年5月に、夏の季節にあたる火星の北半球に着陸した。その後、当初の予定より2か月長い5か月間にわたる探査を行った。しかし、火星の北半球が冬を迎え日射量が減り、じゅうぶんな電力が得られなくなったために通信途絶、同年11月にミッション終了となった。

フェニックスには、極低温となる火星の冬を乗り越えるような設計は施されていない。そのため、フェニックスが再び活動できる可能性は、ほぼないものと見られている。

しかし、現在フェニックスの着陸地点周辺では、フェニックスが最後に通信を送ってきた(2008年11月2日)ころと同程度の日射量がある。そのため、もし万が一システムが稼動していて、ひとたびソーラーパネルによってじゅうぶんな発電を行うことができれば、火星の上空を周回している探査機を経由し、定期的に地球との交信を行えるかもしれないという。

マーズ・オデッセイは、今年3月までフェニックスの頭上を日に10回ほど通過しながら、信号が送られてきているか、フェニックスがどんな状態にあるのかなどの情報収集を行う。NASAは、フェニックスにどんな能力が残されているかを調べ、今後の決定に役立てる意向だ。