昔の銀河には、星の材料がたっぷりあった
【2010年2月23日 MPE】
仏・ビュール高原電波干渉計(PdBI)が、90億光年ほどのかなたに存在する星形成銀河を複数観測し、星の材料である冷たいガスの検出、撮像に成功した。その結果、遠方にある若い銀河には、比較的近い銀河に比べて5倍から10倍も多く星の材料が存在していることが明らかとなった。
宇宙的な時間スケールでみると、銀河で星が形成される割合は、ずっと一定だったわけではない。宇宙がもっと若かったころは、もっと多くの星が生み出されていたと考えられている。
大量に星が形成されていたのは、材料がたくさんあったからなのか、それとも、その頃の銀河が効率よく星を形成することができたからなのか、一体どちらだろうか。独・マックスプランク天文学研究所が国際的なチームと共同で行った観測で、この疑問に対する答えが示された。
同研究チームが観測に使ったのは、仏・ビュール高原電波干渉計(PdBI)。宇宙が現在の年齢の24パーセントと40パーセントだったころ、つまりビッグバンから約30億年から50数億年後の宇宙に存在する星形成銀河を観測して、星の材料となる冷たいガス(一酸化炭素分子)のスペクトルを検出し、撮像に成功した。
その結果、これら(もっと若かった頃の宇宙で)急速に星形成を行っていた銀河は、現在われわれに比較的近い宇宙に存在する銀河と大きさや構造は似ているものの、冷たいガスの質量が5倍から10倍も多いことがわかった。
独・マックスプランク天文学研究所のTacconi氏は、銀河が長期間にわたってこのような大量のガスをつくり続けていたとすると、ガスが継続的に銀河の周辺領域から流れ込んでいたことになり、最近の理論的な予測とも一致すると話している。