【レポート】天文教育普及研究会 関東支部会
「地域とともにあゆむ天文教育・普及」
【2010年3月8日 アストロアーツ】
2月28日に東京都三鷹市の三鷹ネットワーク大学で、天文教育普及研究会の関東支部会が開催された。世界天文年2009をきっかけに体験型のイベントが増え、星のソムリエや熱心な天文ファン、地域の人々が主体となって活躍する場が増えており、イベントのスタイルに変化が出てきているようだ。
文:日本女子大学大学院 野沢由依さん
2月28日(日)、天文教育普及研究会の関東支部会が三鷹ネットワーク大学で開催されました。「地域とともにあゆむ天文教育・普及Part1」というテーマのもとに、関東を中心に活動する会員たちによって情報交換が活発に行われました。天文の専門家はもちろん、学校教師から一般人まで様々な立場の方が、個々で行う天文教育・普及活動を報告し合いました。
なかでも多かったのが、地域の学校などで行われた天体観望会の報告でした。普段、天体望遠鏡で星を見る機会がなかなかない子どもたちにとって、観望会はとても楽しみなイベントの一つになっているようです。研究会後に会場近くの三鷹市立第四小学校で行われた天文部活動「アストロクラブ」では、子どもたちが無我夢中になって自作の望遠鏡を月や火星に向ける姿が印象的でした。
また、イベントに参加することによって、普段関わることのない地域の人々との交流が盛んになり、天文普及以外の側面でも良い影響を及ぼしているようです。
観望会以外でも、天文普及・教育活動の方法はいくつか挙がりました。たとえば、世界天文年2009 グランドフィナーレで行われたイベント「うちゅうにふれてみよう」では、親子で一緒に宇宙の写真を見ながら作る「ちぎり絵」制作を行ったそうです。参加した親子は、一生懸命作った世界でただ一つの天体の絵に大満足すると同時に、不思議な姿をしている天体に強い関心を持ったようです。年齢、性別などに関係なく知る喜びや創り出す喜びを共有できるちぎり絵ですが、親子で参加することで子どもの天文好きを親がサポートするかたちを生み出します。天文普及・教育活動の大きな後押しになることが期待できるので、今後も各地域で進めていってほしいところです。
今までは、天文普及というと専門家による講演会や観望会が主でしたが、世界天文年をきっかけに、そのスタイルが少し変わりつつあるようです。星のソムリエや熱心な天文ファン、それに加えて全国各地域の人々の“草の根”的な活動が、今後の天文普及・教育活動を担っていくことになるかもしれません。今年の夏には、同じテーマで全国大会も三鷹市で行われるそうですので、興味がある方はぜひ参加してみてはいかがでしょう。