木星に似た系外惑星が初めて発見された
【2010年3月25日 ESO】
約1500光年の距離にある恒星のまわりに、太陽系の惑星に似た系外惑星の第1号が発見された。これまでに知られている木星型系外惑星の多くは、表面温度が摂氏1000度前後と超高温のものばかりだったが、この惑星の表面温度は摂氏160度からマイナス20度とはるかに低く、今後系外惑星に関する理解が深まると期待されている。
系外惑星探査衛星「コロー(COROT)」とヨーロッパ南天天文台のラ・シーヤ天文台3.6m望遠鏡に備え付けられた分光器「HARPS」による観測で、表面温度が昼側で摂氏160度、夜側で摂氏マイナス20度ほどというガス惑星「CoRoT-9b」が発見された。
これまでに発見された系外惑星は400個以上あるが、その多くは、表面温度が摂氏1000度前後というホットジュピター(恒星のすぐ近くをまわる木星型惑星)だった。
スペイン領カナリア諸島のラ・パルマにあるカナリア天文物理研究所のHans Deeg氏は「CoRoT-9bは、太陽系内の惑星にとてもよく似た系外惑星の第1号です」と話している。
CoRoT-9bは、へび座の方向約1500光年の距離に位置する恒星のまわりを回っている。その周期は太陽系内の水星よりやや長い95日で、大きさは木星程度だ。
これまでにトランジット法で発見された系外惑星は70個ほど知られているが、それらに比べてCoRoT-9bは、恒星からの距離が10倍以上も離れており、同じ方法で発見された系外惑星の中では特別な存在と言える。
トランジット法とは、惑星が恒星の前を横切るときに恒星の光がわずかに暗くなるのを利用した検出方法だ。CoRoT-9bは、中心星のまわりを回りながら、恒星面を約8時間かけて通過する。トランジットの際、恒星からの光は惑星の大気を通過する。その際、どの波長の光が吸収されたのかを調べれば、対応する成分がわかる。
研究チームメンバーの一人Tristan Guillot氏は「木星や土星といった太陽系内の巨大ガス惑星のように、この惑星の組成は主に水素とヘリウムです。そのほか地球質量の最大20倍ほどが、水や岩石、そのほかの物質で構成されている可能性があります」と話している。
CoRoT-9bの発見は、低温のガス惑星の化学を理解する最初の一歩であり、今後低温の系外惑星の大気という新しい研究分野が誕生するかもしれない。
ステラナビゲータVer.8で系外惑星の位置を表示
ステラナビゲータVer.8では、350個を超える「惑星の存在が確認された恒星」を追加天体として「コンテンツ・ライブラリ」で公開しており、CoRoT-9(中心の星)が存在する方向を星図に表示できます。ステラナビゲータ Ver.8をご利用の方は、ステラナビゲータの「コンテンツ・ライブラリ」からファイルをダウンロードしてください。