相次ぐ日本人による新星の発見
【2010年4月29日 国立天文台 アストロ・トピックス(549)】
先日いて座に新星を発見したベテラン天体捜索者コンビの西山さんと椛島さんが、今度は今年4つ目となる新星をさそり座に発見された。この新星は小嶋さん西村さんも発見されており、日本人アマチュアが大活躍している。
アストロ・トピックスより
この4月、いて座とさそり座に相次いで新星が発見されました。いて座の新星は、福岡県久留米市の西山浩一(にしやまこういち)さんと、佐賀県みやき町の椛島冨士夫(かばしまふじお)さんが発見しました。一方、さそり座の新星は、西山さんと椛島さんのグループが発見した他、群馬県嬬恋村の小嶋正(こじまただし)さんと静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さんも独立発見しています。
いて座の新星は、西山さんと椛島さんによって4月23.782日(世界時、以下同じ)に発見されました。この日お二人は、焦点距離105mmのカメラレンズ(f/4)を使用した冷却CCDカメラによる観測を行い、得られた2枚の画像(限界等級13.2等)からこの天体を発見しています。
この天体の天体名、発見日時、位置、発見等級は次のとおりです。位置は、発見当夜の23.791日に、お二人が40cm(f/9.8)の反射望遠鏡を使用して行った確認観測の値です。
○いて座新星2010 No.2 天体名 :「いて座V5586」 発見日時:2010年4月23.782日 = 4月23日18時46(世界時) 赤経 17時53分02.99秒 赤緯 -28度12分19.4 秒 (2000年分点) 発見等級 11.2等 新星周辺の星図
一方、西山さんと椛島さんはさそり座の新星も発見しています。お二人は、4月25.788日に行った焦点距離105mmのカメラレンズ(f/4)を使用した冷却CCDカメラによる観測で得られた2枚の画像(限界等級13.1等)から8.6等のこの天体を発見し、国際天文学連合電報中央局に報告しました。
また小嶋さんは、4月25.738日に焦点距離50mmのカメラレンズ(f/2.8)を用いたデジタルカメラによる観測で得られた2枚の画像(限界等級11.2等)から、この天体を発見しました。さらに西村さんも、4月25.763日に焦点距離120mmのカメラレンズ(f/3.5)を用いたデジタルカメラによる観測で得られた2枚の画像(限界等級10.5等)から、この天体を発見しました。小嶋さんと西村さんの発見は、中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告されました。
この天体の発見日時と発見等級、位置は次のとおりです。小嶋さんの発見等級は、中野さんが測定したものです。また位置は、発見当夜の25.796日に西山さんと椛島さんが40cm(f/9.8)の反射望遠鏡を使用して行った確認観測の値です。
○さそり座の新星(注) 発見日時(世界時)と発見等級: 2010年4月25.738日 = 4月25日17時43分 8.8等(小嶋さん) 2010年4月25.763日 = 4月25日18時19分 8.3等(西村さん) 2010年4月25.788日 = 4月25日18時55分 8.6等(西山さん、椛島さん) 赤経 16時55分13.16秒 赤緯 -38度03分46.9 秒 (2000年分点) 新星周辺の星図
西山さんと椛島さんは、これまでも多くの新星を発見しており、2月20日にもさそり座に新星を発見したばかりです。また西村さんも多くの新星を発見しており、今年は1月15日と2月18日にへびつかい座の新星を発見したばかりです。一方、小嶋さんは初めての新星発見となりました。このような日本のアマチュア観測者による相次ぐ新星の発見は、称賛に値します。今後の活躍に期待いたします。
注:現時点では、まだ命名されていない。
※なお、アストロアーツでは、西山さんと椛島さんによるいて座の新星発見について、ニュース「西山さんと椛島さん、今年2個目の新星発見」(4月26日付)でお伝えしました。