【募金】旧五島プラネタリウム投影機を後世に
【2010年5月20日 星ナビ編集部】
2001年に閉館となった「五島プラネタリウム」の投影機を、今年秋オープン予定の渋谷区の施設に常設展示するため、「旧五島プラネタリウム投影機展示保存実行委員会」が結成された。同委員会では投影機の再組み立てや展示台の製作などに必要な約700万円の寄付を呼び掛けている。
古くからの天文ファンなら、渋谷といえば「プラネタリウム」を連想するだろう。もちろん渋谷駅前の東急文化会館の最上階にあった「財団法人天文博物館五島プラネタリウム」のことである。
五島プラネタリウムの開館は1957年。当時としては最新鋭だったカールツァイス社製プラネタリウム投影機IV型1号機による星空を直径20mのドームに映し、開館以降多くの人に親しまれてきた。しかし、建物の老朽化や渋谷駅周辺の再開発などの理由で、2001年に惜しまれつつも閉館となった。
それから10年、この秋、旧五島プラネタリウムを引き継ぐように、渋谷の街に新たなプラネタリウム館がオープンする。現在、建設が進められている渋谷区の「文化総合センター大和田」内に設置される「コスモプラネタリウム渋谷」だ。すでに、直径17mのドームに国産プラネタリウム投影機の導入が決まっている。
旧五島プラネタリウムが所蔵していた多くの貴重な資料と投影機は、閉館後に渋谷区に寄贈され、渋谷区総務部文化総合施設準備室が所管する「渋谷区五島プラネタリウム天文資料」が保管しているが、「文化総合センター大和田」オープンにともない同センターへと移されることになっている。分解梱包され保存されている投影機も再び組み立てられ、投影稼働はしないものの、文化遺産として同センター内に常設展示されることがほぼ決まっていた。
ところが、投影機の展示スペースは確保できたものの、諸般の事情から展示が困難になってしまった。そこで、当時の五島プラネタリウムの職員、学芸員、ファンなど関係者が集まり、「旧五島プラネタリウム投影機展示保存実行委員会」を立ち上げ、展示費用の募金を呼びかけることにした。目標金額は、およそ700万円。
「43年間で、1600万人もの方がこの投影機の星空を見上げました。そして、アマチュアはもちろん、天文の専門家の方をたくさん育ててきました。その投影機を私たちは保存しておきたいと思います。もしも、ご縁のある方がいらっしゃいましたら、ご協力をお願いします」というのは、実行委員長を務める旧五島プラネタリウム館長の村山定男氏。
五島プラネタリウムの投影機は、貴重な文化遺産であることはもちろん、同じプラネタリウムとはいえ民間から渋谷区へと運営母体が大きく変わってしまうことから、その新旧のつながりの象徴としても、新たな施設に展示されるべきものだろう。賛同される方は、ぜひとも募金に協力を。
- 募金の趣旨や送金先など、より詳しい情報は「旧五島プラネタリウム投影機展示保存実行委員会」のWebページを参照してください
- 「プラネ投影機の展示費用700万円」(PDFファイル)
(星ナビ2010年6月号「News Watch」コーナー掲載記事/本記事は、募金の公知目的に限り、自由に転載引用可です)