「滋賀天文のつどい2010」開催レポート
【2010年11月18日 アストロアーツ】
滋賀県で毎年開催されている「滋賀天文の集い」の記念すべき第20回大会が、11月14日に滋賀県立琵琶湖博物館で開催された。今回は星としての地球をテーマの一つにかかげ、地球環境の保全も視野に入れた、これからの天文活動の意味を考えていくうえで意義深い集いとなった。
天文学の立場から地球環境を考える 「滋賀天文の集い2010」の開催
さる11月14日(日)、滋賀県草津市の滋賀県立博物館で「滋賀天文の集い2010」が開催されました。この集いは信楽天体観測同好会の宇多清夫さんの提案で1993年から毎年開催されている天文愛好家の集いで、年に2回開催された年もあるため今回が20回目になります。
これまでは県内の天文施設で開催されてきましたが、今年が生物多様性年にあたることや、最近は環境教育の一環として開かれる天体観望会が多くなってきたことから、星としての地球をテーマとして滋賀県立琵琶湖博物館で開催され、県内外からおよそ30名の参加者がありました。
記念講演として、京都大学総合博物館館長の大野照文先生より「この星・地球の生き物、その進化の歴史と未来」と題して、生命の存在できる星の条件や生物誕生の過程、その進化の様子と隕石による大量絶滅についてのお話をいただきました。
星空を見上げると無数の星があり、その中には惑星系も多数見つかってきています。地球によく似た環境の星の発見が話題になりますが、地球という星が限りなくバランスの取れた星であり、さまざまな偶然や奇跡の積み重ねで今日の地球があります。講演を聞きながら地球の素晴らしさを再認識し、天文普及活動を進める中でも地球の素晴らしさと環境保全の大切さを伝えることが必要であると強く感じさせられました。
講演に続いて、県内の観測者による研究発表が行われました。とくに今回の話題の中心は8月7日の大火球と隕石落下の可能性についてでした。8月7日17時頃に東海地方で目撃された火球は滋賀県中央部で隕石として落下した可能性があり、現在ラジオや新聞などで滋賀県内での目撃者を探しています。空中で燃え尽きた可能性や琵琶湖に落下した可能性もありますが、もし隕石が発見されれば滋賀県では1918年の田根隕石以来のことでもあり、参加者による熱心な討議が行われました。
滋賀天文の集いは県内有志により毎年秋に行われています。こうした催しによってアマチュア天文家による観測研究や天文普及活動がさらに発展することを願っています。