アマチュア天文家 宇多清夫氏の名前が小惑星に
【2010年7月7日 ダイニックアストロパーク天究館】
滋賀県のアマチュア天文家 宇多清夫氏の名前にちなんで、小惑星(15407)が「Udakiyoo(宇多清夫)」と命名された。宇多氏は、天文普及活動や天体観測に活躍、昨年10月に急逝された。
文:滋賀県ダイニックアストロパーク天究館 高橋進さん
5月27日に国際天文学連合小惑星センターより発表された小惑星回報で、小惑星(15407)に「Udakiyoo(宇多清夫)」という名前が付けられたことが発表されました。
宇多清夫(うだきよお)さんは滋賀県のアマチュア天文家の中心として天文普及活動や天体観測に活躍されながら、昨年10月に急逝されました。多くの人々に星空のすばらしさを伝えてきた宇多さんにこれからも星空から見守り続けてほしいという多くの人たちの思いをこめた命名です。
宇多清夫さんは1959年に信楽町(現在は甲賀市)で生まれ、小学生の頃から星が大好きな少年でした。信楽焼きの陶芸職人をしながら夜は熱心に天体観測を行っていました。流星観測や星食の観測はとくに熱心で、1996年2月には小惑星による恒星食の観測にも成功しました。小惑星の位置精度の低かった当時では貴重な観測でした。
また変光星分野でも、ミラキャンペーンで何度も最多観測者になられました。天文普及活動にも熱心で、紫香楽天体観測同好会の代表として甲賀市で毎月のように天体観望会を開催されました。ダイニックアストロパーク天究館のボランティアグループ(天究館友の会)の中心メンバーでもあり、わかりやすい星空解説や天体望遠鏡での星雲・星団めぐりなど星空と宇宙の魅力を多くの人に伝えました。
滋賀県内の天文ファンが集まって発表と交流を行う「滋賀天文の集い」の発起人で、1994年の第1回目から実行委員長を務められました。そうしたたいへんに活発な活動を進めてこられた宇多さんが昨年10月に突然に亡くなられました。滋賀県内の天文ファンにとっては思いもかけないことでした。しかし宇多さんの星空への思いをいつまでも大切にしようという思いから、今回の小惑星命名になったのでした。
さる6月28日に小惑星(15407)の発見者で命名申請者の井狩康一さんより宇多清夫さんのご家族へ命名の報告が行われ、小惑星発見画像が手渡されました。星空と家族を愛してこられた宇多清夫さんがこれからは星となって光り続けられることを皆さんとても喜んでおられました。