小惑星の名前に「蕪栗」と「化女沼」
【2010年6月11日 大崎生涯学習センター】
静岡県の浦田武さんと栃木県の伊野田繁さんが発見した2つの小惑星が、宮城県大崎市のラムサール条約登録湿地にちなんで「(6270)Kabukuri(蕪栗)」、「(6324)Kejonuma(化女沼)」と命名された。
大崎生涯学習センターの遊佐徹氏は、東亜天文学会の中野主一氏が行った小惑星命名申請の公募に対して、宮城県大崎市のラムサール条約登録湿地にちなんだ2つの名前(「Kabukuri(蕪栗)」と「Kejonuma(化女沼)」)を提案、このほど国際天文学連合微小天体命名委員会で審議・認定され、5月27日付けの小惑星回報MPC 70406で公表された。
2つの小惑星は、静岡県の浦田武さんと栃木県の伊野田繁さん(故人)のお二人によって1991年に発見された。
浦田武さんは、1978年に「(2090)瑞穂(みずほ)」を発見し、これが日本のアマチュア天文家として初の小惑星発見となった。その後も600個あまりの小惑星を発見しており、日本屈指の小惑星ハンターだ。また、共同発見者の伊野田繁さんは、アマチュア天文家として、烏山天文台で多数の小惑星を発見した。
今回の小惑星名の由来となった「蕪栗(沼および周辺水田)」と「化女沼」は、国際的に重要な渡り鳥の生息地を保護する「ラムサール条約」に登録されている。大崎生涯学習センターでは、この2つの沼などを会場にして、2007年度から教職者や小学生を対象に講習会や観察教室などを展開してきた。また、2つの沼は、大崎市の環境保全・環境教育など、さまざまな活動の拠点となっている。
小惑星「Kabukuri」と「Kejonuma」は、火星と木星の間をめぐる軌道上をそれぞれ約3.6年、約4.1年の周期で公転している。小惑星「Kabukuri」は1年4か月ごとに地球に近づき観測条件がよくなる。今年5月初旬に地球に最接近し、現在は地球から徐々に遠ざかりながら、宵の空のてんびん座の方向に18等で観測できる。次に観測条件がよくなるのは、2011年の9月頃だ。一方、小惑星「Kejonuma」は1年3か月ごとに地球に近づく。現在は18等で明け方の低空にあって観測が困難だが、今年の11月下旬には、おうし座の方向に見え15等台まで明るくなる。
いずれも小惑星としては比較的明るい光度だが、通常の天体望遠鏡では眼視で見ることはできない。口径20cm程度以上の望遠鏡に天体用カメラを取り付けることにより観測可能となる。
なお、大崎生涯学習センターでは、屋上天文台に設置した30cm反射望遠鏡に冷却CCDカメラを取り付け、一般を対象とした小惑星検出のワークショップを今年12月に開催する。参加申し込みなどの詳細は「平成22年度 大崎生涯学習センター天体観測講座」を参照のこと。