「はやぶさ」後継機は2014年に打ち上げ
米は「OSIRIS-REx」でサンプルリターン目指す
【2011年5月26日 JAXA/NASA】
小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還からもうすぐ1年。その後継プロジェクトで、2014年に打ち上げが予定されている「はやぶさ2」の計画概要と状況が発表された。またNASAでも、小惑星探査機「OSIRIS-REx」を2016年に打ち上げ、表面物質の採取を目指す。
「はやぶさ2」計画
2003年に打ち上げられた探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワの表面物質の微粒子を携えて2010年に地球に戻ってきてから6月で1年となる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、その後継プロジェクトとして「はやぶさ2」を準備中だ。その計画概要と状況が下表の通り発表された。
プロジェクトチームでは開発研究段階を終えたところで、今後は宇宙開発委員会による評価を経て開発作業段階に移行していく見込みだ。
- ミッションスケジュール:
- 2014年 打ち上げ
- 2018年〜2019年 目標天体の探査実施
- 2020年 地球帰還
- 目標天体:
- 小惑星「1999 JU3」
差し渡し920m程度の、炭素質主体のC型小惑星。イトカワのようなS型小惑星よりも有機物や含水鉱物を多く含んでおり、地球生命の原材料を考える上で重要な手がかりとなると考えられている - 主な目的:
- C型小惑星の物質的科学的特性を調べる
- 小惑星の再集積過程・内部構造・地下物質を直接調べ、小惑星の形成過程を知る手がかりを得る
- 「はやぶさ」で試みたイオンエンジン航行やサンプルリターンなどの技術を、さらに向上・成熟させる
- インパクター(衝突体)を天体に衝突させる技術のテスト
- 主なミッション内容:
- 天体近傍からの表面観測
- 100mg以上のサンプル採取
サンプル採取機構がうまく作動しなかった「はやぶさ」でも結果的に微粒子を採取できたが、さらに多くのサンプルの順調な採取を目指す - インパクターを小惑星にぶつける
2005年にアメリカの「ディープインパクト」が彗星にインパクターをぶつけ、舞い上がった物質の観測に成功している。「はやぶさ2」では、目標範囲に衝突させることでフルサクセス、さらにエクストラミッションとして、表面に露出した地下物質の採取を試みる - 本機から小型探査ロボットを天体表面におろす
「はやぶさ」では「ミネルバ」のイトカワへの降下を試みたが失敗
「OSIRIS-REx」計画
新たな小惑星サンプルリターンミッションに、アメリカも乗り出した。
NASAは、冥王星探査機「ニューホライズンズ」、今年8月打ち上げ予定の木星探査機「ジュノー」に次ぐ「ニュー・フロンティア計画」の第3弾として、小惑星探査機「OSIRIS-REx」を2016年に打ち上げると発表した。
「OSIRIS-REx」は2020年に小惑星「1999 RQ36」に到着し、機体から伸ばしたアームで表面物質を採取して2023年に地球に帰還する。表面物質の採取や観測のほか、太陽熱により小天体の軌道が影響を受ける「ヤルコフスキー効果」の正確な測定も行う。