東日本大震災から1年

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【2012年3月13日 アストロアーツ】

2011年3月11日に発生した東日本大震災から1年を迎えました。天文界のこれまでの取り組み、被災した天文施設の現況、そして現在進行中の活動を紹介します。


「かけはしプロジェクト」

「ミニ星座早見工作セット」を活用した観望会

2011年5月、宮城県で行われた「東京モバイルプラネタリウム」被災地出張投影にて。応援に駆けつけた遊佐徹さん(右から2人目)が「ミニ星座早見工作セット」を手に説明する。クリックで拡大(写真提供:近内章一さん)

東日本大震災・原発事故発生から1年。多くの人々の暮らしを根こそぎ変えてしまった未曾有の災害の中で、天文ファンや、プラネタリウム館などの施設も大きな被害を受けました。今なお、被災地では復興に向けて懸命な努力が続いています。

アストロアーツでは復興のためのささやかな支援として、業界各社の皆様や全国の天文ファンの皆様との「架け橋」となれるような活動を通して「子供達の未来を守りたい」という願いを込めて「かけはしプロジェクト」を立ち上げました。

プロジェクトの一環として、被災地での観望会を行う方向けに「ミニ星座早見盤工作キット」を28の団体・個人に総計16,900枚無償提供し、工作や星見を楽しんでいただきました。岩手と福島での様子を支援レポートで紹介しました。

また、渋谷区を通じた義援金寄付を募っていた東京の「コスモプラネタリウム渋谷」で、寄付をしてくださる方への特典として「星座早見盤工作キット」を提供しました(参照:2011/11/17ニュース「コスモプラネタリウム渋谷での義援金活動が終了」)。

被災したプラネタリウムの今

マリンパークなみえ

壊滅的な被害を受けた「マリンパークなみえ」(画像右)。2011年12月撮影。クリックで拡大(提供:浪江町役場)

大破した「星の村天文台」の65cm望遠鏡

大破した「星の村天文台」の65cm望遠鏡と、台長の大野裕明さん。クリックで拡大(撮影:星ナビ編集部)

被災地での天文施設では、建物・設備に被害があったところもありましたが、スタッフや関係者の努力により、春や初夏にかけて多くの施設が復旧・再オープンにこぎつけました。再開を待ちわびる市民の声や、寄せられる応援がスタッフの力になったといいます。それはまぎれもなく、各施設が展開してきた、地域に根ざした活動のたまものであり、地域に根ざしたつながりが公開天文施設にとって最も大切な財産であることを改めて実感した1年でもありました。

プラネタリウムが併設されていた福島県の「マリンパークなみえ」は津波の直撃を受けたのみならず、原発事故により現在も立ち入りを厳しく制限されています。「施設およびプラネタリウムの早期の復旧・再オープンを目指したいが、まず町の復旧・復興が先であるべきで、残念ながら現状ではそれさえも全く見通しが立っていない」という館長の横山開さんのコメントからは厳しい状況がうかがえます。

口径65cm赤道儀望遠鏡が大破するという大きな被害を受けた福島県の田村市星の村天文台では、5月にプラネタリウムを再開し、9月には望遠鏡再建に向けての国や市による支援が決定しました。天文台に通じる道路で大型車両の通行が制限されていましたが、今年3月には修復され、本格的な修理に着手されることになりました。

復興への長い道のり 「つなげよう日本」

オリジナル日食Tシャツ つなげよう日本

「オリジナル日食Tシャツ つなげよう日本」。クリックで拡大

アストロアーツでは「かけはしプロジェクト」の一環として、今年5月21日の日食を記念した「オリジナル日食Tシャツ つなげよう日本」の販売収益を復興支援「集まれ!星たち」キャンペーンに寄付いたします(販売は終了しました)。

太陽と月が重なり合い、日本中の多くの人々が一斉に宇宙の神秘を目にする時間は、あの日以来ばらばらになってしまった時の流れをもう一度同期させる「時計合わせ」の機会なのかもしれません。

アストロアーツでは、今後も私たちにできることを考え、支援を続けていきます。

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