厳しい放射にさらされる惑星の誕生現場

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【2012年3月16日 CfA

惑星が生まれる場所が必ずしも惑星の成長に最適であるとは限らない。強烈な紫外線を放つ星が近くにある厳しい環境と惑星の形成との関係を調べる研究に、大きな進展があった。


原始惑星体と思われる天体

原始惑星体と思われる天体の赤外線画像。近くの星からの紫外線で原始惑星系円盤が蒸発していると考えられる。クリックで拡大(提供:IRAC and Wright et al)

生まれたばかりの星の周りには原始惑星系円盤と呼ばれるガスとチリの円盤が存在し、条件が整えば数百万年後には、その中から惑星が生まれる。しかし、その近くに他の星、特に大質量の星があれば、その星からの強烈な紫外線放射によって円盤の一部もしくは全体が蒸発し、形状が崩れていることもある。こうした原始惑星系円盤は「原始惑星体(proplyd)」と呼ばれ、紫外線源に向いたオタマジャクシの形をしているのが一般的だ。

原始惑星体が初めて発見されたのはオリオン座分子雲の中で、トラペジウム星団の若い高温の星々に照射されているものだ。研究者たちはこれ以外の原始惑星体も見つけて、恒星や惑星の形成進化に関する仮説の検証を目指している。現在見られる生まれたばかりの星のほとんどは近くに高温の星が存在し、惑星系の成長を妨げられる可能性があるからだ。

ハーバード・スミソニアン天体物理研究所(CfA)のNick Wright氏らは、はくちょう座OB2星群落の巨大星団から約30光年しか離れていない場所で、原始惑星体のような天体を10個発見した。この星団は前述のオリオン座領域より遠くにあり、若い高温星の集団としてはさらに極端なものである。発見された天体は大きさや形状がばらばらで、真の原始惑星体というよりも、恒星になりそこなった蒸発中の球状ガス、あるいは紫外線で壊れたガス雲からかろうじて生まれた幼い星が放射で蒸発しているものと考えられる。

この研究は、劣悪な環境の中で原始惑星系円盤がどのように進化していくのかを理解するための重要な成果であり、分光観測やエネルギー解析などが続けられている。

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