欧州の木星探査計画「JUICE」 2022年打ち上げ目標

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【2012年5月24日 ESA

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)は、将来の大型プロジェクトの1つとして木星探査計画「JUICE」を発表した。2030年に木星に到達し、木星やその衛星の磁気圏、生命環境を探る。


「JUICE」の想像図

木星に接近した「JUICE」の想像図。左下は衛星イオ。クリックで拡大(提供:ESA/AOES)

「ジュノー」が撮影した北斗七星

木星までは長い道のりとなる。画像は、2011年8月に打ち上げられたNASAの木星探査機「ジュノー」が撮影した北斗七星。2016年に木星到着予定だ。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/SWRI/MSSS)

ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が、木星やその氷衛星を調べる次世代探査計画を発表した。「JUICE(The Jupiter Icy moons Explorer:木星氷衛星探査機)」と名づけられた新しいミッションは、ESAが実施する一連の「コズミックビジョン2015-2025」プログラムに選ばれた初めての大型プロジェクトだ。この「コズミックビジョン2015-2025」は、以下の科学的探求を目標としている。

  • 惑星系と生命誕生の条件
  • 太陽系のしくみ
  • 宇宙の基本法則とは何か
  • 宇宙はどのように始まり、何でできているのか

「JUCIE」は2022年に南米の仏領ギアナで打ち上げられ、2030年に木星に到着、その後3年以上詳細な観測を行う予定だ。

木星の4大衛星(ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で観測したため「ガリレオ衛星」とも呼ばれる)、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストはそれぞれ多様な環境で、太陽系のミニチュアともいわれる。その中でもエウロパとガニメデ、カリストは内部に海を持っていると考えられており、「JUICE」はこれらの衛星が生命が存在可能な環境なのかを調べる。

また、木星の大気や磁気圏、そして木星とガリレオ衛星との関連性も継続的に探査する。カリストやエウロパに接近し、エウロパの氷表面の厚さを測る。これは将来の着陸探査の場所を検討する材料となる。

2032年にはガニメデの周回軌道に入り、氷の表面や内部構造を探る。ガニメデは自らの磁場を持つ太陽系唯一の衛星であり、この特殊な磁場とプラズマが木星の磁気圏とどのように相互作用するかも調べる予定だ。

「木星は巨大ガス惑星の典型的な例です。太陽以外で存在が見つかっている多くの惑星は、「ホットジュピター」と呼ばれる巨大ガス惑星です。「JUICE」はこうした系外惑星と衛星系の形成過程、そして生命が存在する可能性などについての理解も深めてくれるでしょう」(ESAのAlvaro Giménez Cañete氏)。