広範囲でとらえた宇宙最初の光
【2012年6月12日 NASA】
宇宙最初の大質量星やブラックホール由来と思われる赤外線背景放射を、NASAの天文衛星「スピッツァー」がとらえた。これまでより広い範囲の観測で、130億年前の光の分布パターンがより確かなものになってきた。
137億年前の大爆発「ビッグバン」から始まった宇宙はやがて膨張して温度が下がり、約5億年後には最初の星々や銀河、ブラックホールが生まれた。それらの天体が発した可視光や紫外線の波長が伸びて(注)、赤外線として地球に届いているとされる。
画像は、うしかい座の一画をとらえたものだ。上が通常の赤外線像で、下は手前側の星や銀河の光を差し引いて(灰色でマスクされている)背景の光を浮かび上がらせたものである。個々の天体を見ることはできないが、その放つ光のおおよその分布がわかり、予測とも一致している。
こうした観測は2005年と2007年にも行われたが、NASAのAlexander Kashlinsky氏らによる今回の研究では満月2個分という広い領域を観測することで、パターンの全容がさらに確かなものになった。今後さらに範囲を広げた観測が行われ、現在計画中のJames Webb宇宙望遠鏡によりさらに確実な答えが出ることが期待される。
注:「赤方偏移」 宇宙全体は一様に膨張しているので、遠方の天体ほど地球から高速で遠ざかっている。そのため天体からの光は波長が伸び、赤外線として地球に届く。