若かった頃の宇宙の姿
【2002 年 1 月 16 日 Goddard Space Flight Center Press Release】
2MASS(2μm 全天掃天観測)をおこなっていた研究者たちの発表によると、宇宙は若かった頃は元気な子供のように活発に活動していたらしい。
1997 年から 2000 年までおこなわれた 2MASS では、波長 2μm の赤外線で全天を観測し、3 億個以上の星と銀河をカタログ化した。この星や銀河には、宇宙初期から宇宙年齢が今の年齢の 30〜40% の時代の間に生まれたものも多く含まれている。
その結果、宇宙赤外線背景放射(CIB 放射)の強度が今までに観測されていた銀河に基づいて予想されていた値より 2〜3 倍も大きいことがわかった。この大きな値は、宇宙初期に爆発的な星形成があったことを示した先行観測の結果を裏付けるものとなる。
測定によれば、爆発的な星形成は宇宙年齢が現在の 5〜40%(赤方偏移が 7 から 1)くらいの時代に起こったらしい。このような宇宙初期の星形成は、「冷たいダークマター(暗黒物質)」と呼ばれる電磁波で観測できない物質の存在を支持するものである。
冷たいダークマターがなかったとすると、ビッグバン直後(数百万年)の高温高エネルギーの初期宇宙の中では星や銀河は誕生しなかったはずである。エネルギーが高すぎることと宇宙が膨張していることの 2 つの理由でガスやチリの雲が重力で収縮することができないからだ。しかし、冷たいダークマターはビッグバンの放射の影響を受けることなく普通の物質に重力を及ぼすことができるので、その重力によって初期の宇宙でも星や銀河を作ることが可能になる。そして今、それらの光が見えているというわけだ。