土星でとらえられた青い稲妻

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【2012年7月19日 NASA

探査機「カッシーニ」が、土星の巨大な嵐の中で発生した稲妻と思われる青い光を観測した。


土星の稲妻

土星北半球の巨大な嵐の中で現れた稲妻。左図は稲妻が発生した瞬間。30分後の右の画像では消えている。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)

土星の巨大な嵐の渦に現れた青い点をとらえた「カッシーニ」による画像が公開された。この青い点は稲妻が発生したことを意味している。土星の昼側で起こる稲妻が可視光線で観測できたのはこれが初めてだ。

「土星の昼側で稲妻が見られるとは思ってもみませんでした。今回とらえられたということは、それだけ強力なものだったということです」(米カリフォルニア工科大学のUlyana Dyudinaさん)。

これらの画像がとらえられたのは昨年の3月で、撮像カメラの青色フィルターで稲妻が最も明るく見えた。研究チームは青い点のサイズと場所を特定するために画像の解析を進めている。稲妻が青色フィルターで明るいのは、実際に青いのかもしれないし、露出時間の短い青色フィルターならすぐに消えてしまう稲妻をとらえやすかったのかもしれない。

現時点でわかっていることは、この稲妻が地球の最大級のものと同程度ということだ。可視光線で見られるエネルギーだけでも、約30億Wと見積もられている。また、雲の外の部分では200kmもの長さになる。このことから、この稲妻は地球と同じく、水滴の氷結が起こる土星大気の深いところから発生すると推測されている。

土星を取り巻く嵐の全体を写した合成画像を確認した結果、このような発光点が複数見つかっている。ある画像では5つ、別の画像では3つの発光点が見られた。

「地球以外の惑星でどのように天気の変化が起こるかを見られるのは素晴らしいことです。土星の大気は、カッシーニの到着以来8年間、変化し続けています。これからがとても楽しみです」(NASAのLinda Spilkerさん)。