双子の探査機「RBSP」打ち上げ成功、バンアレン帯を調査

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【2012年9月4日 NASA

地球のはるか上空に広がる高放射線領域「バンアレン帯」を調査するNASAの双子の探査機「RBSP」が先月30日に打ち上げられた。地球の磁場環境のカギを握るこの領域を約2年間にわたって詳しく探る。


RBSPの打ち上げ画像

RBSPの打ち上げのようす。クリックで拡大(提供:NASA、以下同)

バンアレン帯と探査機のイメージ画像

バンアレン帯と探査機のイメージ。内側領域は地球上空約100km〜10,000km、外側領域は14,000km〜58,000kmに広がる。クリックで拡大

米国東部夏時間8月30日午前4時5分(日本時間同日午後5時5分)、米フロリダ州ケープカナベラル空軍基地から、バンアレン帯探査機「RBSP」が打ち上げられた。双子の探査機は打ち上げから約1時間後にロケットからそれぞれ別々のタイミングで切り離され、予定の軌道に無事投入された。

今後約2か月かけて飛行関連システムや観測機器を起動した後、本格的な観測に入り、別々に移動しながら約2年間にわたり観測データを取得する。

RBSP(Radiation Belt Storm Probes=放射帯嵐探査機)が探査するのは、地球をドーナツ状に取り巻いている「バンアレン帯」と呼ばれる領域である(画像2枚目)。動き回る高エネルギー粒子で埋め尽くされたこの領域は放射線が強く、米物理学者ジェームス・ヴァン・アレン氏によって1958年に発見された当時、ソ連の核実験由来ではと疑われたほどだ。粒子の一部は地球の大気に突入し、宇宙空間にも逃げ出している。

バンアレン帯は太陽から放出されて太陽系内にあふれているる物質とエネルギーが支配する宇宙天気の一部で、膨張や収縮もする。この天気が荒れれば、人工衛星やGPS通信、地上の送電網などに異常をきたすことがある。また、宇宙天気は空を彩るオーロラとの関連も深い。

RBSPは、バンアレン帯の高エネルギー粒子がどのように分布しているのか、どのような条件下で加速されたり運ばれたりするのか、そのプロセスを探る。さらに、バンアレン帯における電子の減少や地磁気嵐と関連した領域の変化も調査する。

探査で得られる情報は、過酷な宇宙線にさらされる探査機の設計や宇宙天気予報にも役立てられる。