太陽コロナの謎を解く決定的瞬間
【2013年1月24日 CfA/NASA】
昨年打ち上げられたロケットによる観測から、太陽コロナの磁気リコネクションと呼ばれる磁力線の変化の様子が初めて詳細にとらえられた。太陽にまつわる大きな謎を解く決定的な手がかりとなる。
2012年7月に米ニューメキシコ州で打ち上げられたNASAの観測ロケット「Hi-C」によって、太陽コロナでの磁力線の変化が詳細に観測された。
皆既日食の際、太陽の周囲に不思議な模様を見せるコロナは、太陽の大気にあたる高温のプラズマガスだ。太陽の表面温度が数千度なのに対しコロナが100万度を超える、その加熱メカニズムは未だはっきりしていないが、磁力線のつなぎかわり(磁気リコネクションとも呼ばれる)によるエネルギーの発生が有力な要因とされている。
太陽コロナを極紫外線(紫外線の中でも特に高エネルギーのもの)でとらえた今回の観測では、髪の毛の束のような磁力線がほどけ、エネルギーが解放される様子が0.2秒角という高い解像度でとらえられている。また、Xの字型に交差した磁力線がまっすぐにつなぎかわり、数分後に小さな太陽フレアが発生する様子も見られた。発生したエネルギーは、観測されている熱の源としては十分なものだという。
Hi-Cでの観測はわずか数分という短時間だったうえに視野が狭いため、刻々と移り変わる太陽の様子をチェックしながら打ち上げ当日に観測する箇所を決定し、狙いを定めたという。エネルギー発生のプロセスが他にもとらえられていないか、さらにデータ分析が続けられている。