すばるがとらえた、惑星の存在を示す塵の「腕」

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【2013年2月13日 すばる望遠鏡

およそ470光年かなたの星を取り囲む円盤に、内部にひそむ惑星の重力で曲げられたとみられる弧状の構造が見つかった。


さそり座J1604星の原始惑星系円盤

さそり座J1604星の原始惑星系円盤とその構造。クリックで拡大(提供:総合研究大学院大学/国立天文台)

総合研究大学院大学の眞山聡(まやまさとし)さんらの研究チームが、およそ470光年かなたにある「さそり座J1604星(2MASS J16042165-2130284)」の周囲の原始惑星系円盤をすばる望遠鏡で観測し、内側の穴(すきま)やそれをまたいで伸びる腕のような塵の構造などを発見した。

原始惑星系円盤とは、生まれたばかりの恒星の周りにできるガスと塵の構造だ。その中で塵が集まって小さなかたまりが作られ、さらにそれらがぶつかって合体し大きな惑星が誕生すると考えられている。円盤の外側には塵が豊富に残るが、内側では惑星の材料として消費され、やがてその領域が穴となる。この穴の観測は、惑星形成について知るうえで重要である。

今回すばる望遠鏡の赤外線画像にとらえられた構造は、穴の深さや幅、そして腕構造の形状や湾曲の度合いなどが、惑星が作られる際にできると理論上予測されているものとよく似ているという。また、円盤の左側に見えるくぼみも、やはり予測される構造にあたるものではと考えられる。

アルマ望遠鏡がガスの「腕」をとらえた例はあったが(参照:2013/1/7ニュース「星の周りの円盤から惑星に取り込まれるガス流を観測」)、太陽と同等の質量を持つ天体の円盤で塵の腕構造が直接見つかったのは初めてとなる。ほぼ正面向きで惑星形成の研究にうってつけのこの円盤は、太陽系形成の謎を解明するうえで重要な手がかりを与えてくれそうだ。