惑星成長のカギを握る「安全地帯」を発見
【2013年6月7日 アルマ望遠鏡】
微粒子が合体し惑星などの大型天体に成長していくために必要と考えられてきた「安全地帯」が、400光年先の恒星の観測で初めてとらえられた。数mmサイズの微粒子が彗星のサイズにまで成長するのに適した環境だという。
惑星や彗星などの天体は、生まれたての恒星を取り巻く塵やガスの円盤の中で微粒子が衝突合体し成長することで作られるとされる。だがある程度大きくなった粒子は衝突で破壊されたり、円盤中のガスとの摩擦でエネルギーを失い大きくならないまま中心星に飲み込まれたりするため、破壊や軌道変化を逃れて成長できる「安全地帯」の存在が提唱されてきた。
オランダ・ライデン大学の大学院生ニンケ・ファン・デル・マレルさんらはこの「ダストトラップ」と呼ばれる安全地帯を、へびつかい座の方向約400光年先にある恒星「Oph-IRS 48」の円盤に初めてとらえた。
この星の周囲の円盤ではマイクロメートルサイズの極小微粒子がドーナツ状に分布していることが以前の観測でわかっていたが、今回アルマ望遠鏡でミリメートルサイズの微粒子を観測したところ、カシューナッツ型に分布しているのが見られた。この大きめのサイズの微粒子は、ダストトラップについての理論予測通りガスの環の端に位置しており、微粒子はこの中で衝突合体を繰り返し大きくなっていくと考えられる。
「私たちが発見したものは、彗星のゆりかごといえるものです。ここは、ミリメートルサイズの微粒子が彗星のサイズにまで成長するのに適した環境を持っています。今回ダストトラップが見つかった場所は中心星から遠いので、ここで地球のような惑星ができるとは考えにくいですが、将来的には中心星により近いところをアルマ望遠鏡で観測することで、同じような仕組みで今度は惑星が作られる可能性のある場所(惑星のゆりかご)を見つけることができると期待しています」(ファン・デル・マレルさん)。