青い光からわかるスーパーアースの空
【2013年9月5日 国立天文台】
すばる望遠鏡による観測などで、40光年彼方のスーパーアース(巨大地球型惑星)が水蒸気を主成分とする大気を持つ可能性が高いことが示された。青い光だけを通すフィルターを用いて、減光のようすを調べることによって得られた成果だ。
へびつかい座の方向約40光年彼方の系外惑星「GJ 1214 b」は、主星GJ 1214の手前を通過(トランジット)するときに見られる主星の明るさの変化を観測することで発見されたスーパーアース(巨大地球型惑星)だ。その大気の主成分が何かをめぐってはこれまで議論が続いており、水素あるいは水蒸気が主成分である可能性が考えられていた。
惑星大気の成分を知るには、主星からの光が手がかりとなる。主星からの光の一部は、惑星周囲の大気を通って地球に届くからだ。
GJ 1214 bの大気が広がっており主成分が水素の場合、主星からの光のうち青い光を多く散乱し(レイリー散乱)、赤い光をより多く通す。したがって、青い光の方がトランジットによる明るさの変化が大きくなる。一方、あまり広がっていない水蒸気の大気を持つ場合や、水素が広がっていても厚い雲に覆われている場合は、青い光でも赤い光でも減光の深さはほぼ同じとなる(画像2枚目)。
国立天文台と東京大学を中心とする研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された2つの可視光カメラ、Suprime-CamとFOCASに、青い光だけを透過するフィルターを装着して高精度での観測を行った。その結果、晴れた水素大気の空で観測される「強いレイリー散乱」の特徴が見られなかった。過去に行われた、より長い波長での観測結果と合わせると、GJ 1214 bが水蒸気を主成分とする大気を持つ可能性が高いことが示される。
ただし、厚い雲に覆われた水素の大気である可能性が完全に消えたわけではない。さらに独立の研究によって検証が続けられるだろう。